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「ロボとジョンジョンのファイナルは絵にかいたような理想的なシナリオだった」 - F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by WSL

エフプラスコラム
ジャック・ロビンソン(Photo by Beatriz Ryder/WSL)

マーガレットリバー。序盤あまり波には恵まれなかったけど、ケリー引退とか、プポ兄弟対決負けたらCS行きとか、ハーフカットがらみのドラマもあちこちにあった。でも結局ジャック・ロビンソンよく波知ってるな、と、ジョンジョン鬼のようにマーガうまいな、という印象しかない。ふたりともだけど、もう絶妙というか、波の選び方もセクションの処理の仕方も当てていく場所も、もうね、その波のそこはそうやってそう当てるのが最適だわな、みたいなところだけをひたすら正確に攻めてた。

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ジョン・ジョン・フローレンス(Photo by Beatriz Ryder/WSL)

ジョンジョンのレールワークはもうどうしようもなくうまいと思う。特にマーガでは。セミの10点満点も、上半身スープの中で寝そべりながらの、足は板を探って探って探し当てて立つ。そこまでのゾンビシステムはわりとあるかもしれないけど、その体勢立て直した後の次のターンへのレールワークの流れときたら、あれあそこまで素早くスムーズにできる人っていないかな、と思う。一瞬の休みもなし。ザ・コミットメント。
よく見てると片側フィンヌケしてるトップターンですら、引っ掛かってるほうのレールを軸に加速して、トップターンを回り切る。波の高さの上1/3ぐらいのところですでにレールは波側に切り替わってるもんな、いつでも。板引っ張り切ったところで即座に一瞬でレールチェンジ出来てるし、決して蹴り回さないから板がフラットになることがない。だからホント失速しない。

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ジャック・ロビンソン(Photo by Beatriz Ryder/WSL)

ジャック・ロビンソンとのファイナルは、絵にかいたような理想的なシナリオかと思う。どのラウンドも飛びぬけてうまかったガチな優勝候補と、こちらも同じように安定して勝ち上がっていたローカルボーイ。
セミでピークが来ちゃったジョンジョンに対して、危ないヒートも淡々と切り抜けてファイナルにピークを持ってこられたジャックという感じか。

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ガブリエラ・ブライヤン(Photo by Aaron Hughes/WSL)

女子はガブリエラ・ブライヤン初優勝。パワー勝ちかな。マーガの波はパワフルで癖の強い波で、掘れそうで掘れず、掘れたポケットのある波を見分けるのが難しいので、合わない人はとことん合わない。だけど、しっかり見えてたし、超攻めてたと思う。2位はソウヤー・リンドブラッド。女子完全に世代交代だな。

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ケリー・スレーター(Photo by Beatriz Ryder/WSL)

ケリー。ベルズもここも、頑張ってたと思う。この2試合だけ見ると、この人まだまだいけるんじゃないのかな、と思ってしまうけど、まぁ、52歳だし、普通に勘弁してやってください(笑)。オリンピックがなければ、パイプの優勝を花道に数年前に辞めてたわけだけど、ちょっとね、オリンピック欲出ちゃってここまで引きずっちゃったかね。
ほとんどの記録を塗り替え、サーフィンに革新をもたらし、ジャッジングに革新をもたらし、システムに革新をもたらし、オーバーラッピングヒートを考案し、20世紀から21世紀にかけてのサーフコンペシーンの進化のすべてはケリーがもたらしたと言っても過言ではないと思う。彼がいなければ間違いなく今のサーフシーンは無い。
パイプ、タヒチ、フィジーはワイルドカードが欲しいって言ってたけど、あげるだろうな。でもって50歳代の優勝って、その3か所なら波さえよければ十分可能性あるだろうし。ツアーやめてなお、アメリカンヒーローとしての役割は続くんだろうと思う。まぁ、本人もまだまだ勝ちたそうだし、すんなりパパ業に専念するとは思えないわけだけど。

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