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「クリス・デビッドソンの訃報」- F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by snowy

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デーヴォの愛称で知られるクリス・デビッドソンが45歳でなくなった。
酔って殴られて倒れたときに頭を強打して、病院に運ばれた時にはすでに意識がなかったようだ。殴ったほうもつかまっていて、42歳にして傷害致死ってことになるんだろう。
まぁ、デーヴォなら酔ってけんかはあるかもな、と思う。不運な死といえば不運な死だ。2時間ドラマじゃあるまいに、殴られて、倒れたときの打ち所が悪くてって、そんなぁ、という感じ。

クリス・デビッドソンといえばベルズでのケリーキラーとして名をはせた。90年代半ばごろだろうか。当時全盛期だったケリーをワイルドカードで登場したデーヴォが面白いように何度も倒した。90年代半ばといえば、負けるとニュースになるというぐらいケリーが強かったころだ。そしてケリーに勝てば、あのケリー・スレーターに勝った男として大いに名を売ることができる。ワイルドカードは未知数なので、何が起きるかわからないし、ワイルドカードに負けるのは絶対王者だったケリーやアンディにとっては本当に受け入れられないことだった。

デーヴォがケリーと当たるときは、いい波をじっくり待ってしっかり仕事をする感じ。シャープで切れのいいサーフィンは、ベルズよりは移動先のジョハナのビーチブレイクのほうがあっていた印象がある。今はベルズで移動といえばお隣のウインキーポップだけど、当時は車で何時間もかかるジョハナに移動がお決まりだった。
ミックが出てくる前のリップカールの最強のワイルドカードといえる。
この手の何かに特化したというか、何々キラーみたいなワイルドカードは時々出てきて、ミックやパーコ、ステファニーやカリッサ、タイラーのようにワイルドカードで一気に優勝するということはないけど、番狂わせの大物食いみたいなことはけっこうある。
Jベイでのショーン・ホルムズはアンディキラーだったし、ベルズのデーヴォはケリーキラーだった。最近ではタヒチのカウリ・ヴァーストとかヴァヒネ・フィエロとか、けっこう大物食ってたな。でも特定の場所で特定の大物食う何々キラーというのは近年見ないかも。ガブキラーとかジョンジョンキラーとか、いないよね。

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その後クオリファイして数年CTにいたと思う。
QSを回っていたころは日本の試合にも出ていた。この写真は2005年の田原でのQSの時のもの。この時ちょうど負けて賞金を取りに来ていたデーヴォと話をした記憶がある。まぁ、賞金があるとはいえ負けた後なので、当然機嫌はよくなかっただろうけど、「さ、ビールタイムだね」、と声をかけると、ちょっと意外な顔をした後すぐにニヤッとして、キミはビールが何かをよく知ってるね、と笑った。一緒に飲んだりしたことはないけど、お酒が好きだったことは確かだ。
目つきはきついけど、笑うと実にいい表情で、フレンドリーでいいやつだった。
ご冥福をお祈りします。

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