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2021年CT開幕戦を制したのは?

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PHOTO:© WSL

幻のシーズンとなった2020年CTを経てハワイで開幕した2021年CTシーズン。

オアフ島、ノースショア・パイプラインを舞台としたメンズの『Billabong Pipe Masters』はWSLのCEOエリック・ローガンを含むスタッフが新型コロナウイルスのPCR検査で陽性判定が出てしまい、一時中断。
マウイ島、ホノルアベイを舞台としたウィメンズの『Maui Pro』はローカルサーファーがヒートが行われる朝にシャークアタックで亡くなってしまい、会場の移動を強いられるなど出端を挫かれていました。

『Billabong Pipe Masters』は陽性者を特定して隔離、接触者の追跡を行なって更なる感染を止めて現地時間12月17日に再開。
『Maui Pro』は会場をメンズと同じパイプラインに移動して共に現地時間12月20日にファイナルデイを迎えました。

数日間強かったトレードウィンドがおさまり、新しい西北西ウネリにも反応。
波数が少なく、本来のパイプラインとは言えない難しいコンディションながら、「ケリー vs ロボ」、「ケリー vs ジョン・ジョン」、「イタロ vs ガブリエル」
そして、最後は「ジョン・ジョン vs ガブリエル」とポーカーならロイヤルフラッシュのようなゴールデンカードが揃ったファイナルデイ。
世界中のWSLファンからの注目度も高く、一時アクセス過多でサーバーダウンしたほどでした。

ファイナルまでのゴールデンカード

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(ケリー・スレーター)
PHOTO:© WSL/Brent

ファイナルデイ最初のゴールデンカードはR4(Round of 16)の「ケリー vs ロボ」

パイプラインでいくつもの世代を超えて7度の最多優勝記録を持つケリー・スレーター(USA)とウエスタンオーストラリアの神童と言われ、ルーキーながらすでにケリーを脅かす存在であるとジャック・ロビンソン(AUS)の勝負はロボが7.50とシングルスコアは上回ったものの、トータルでスコアを揃えたケリーが勝利。

「彼がビッグスコアを出すと予想していたから、序盤で決めたかったんだ。最初にレフトに行くつもりは全くなく、ライトを見ていたんだ。先週、マウンテンバイクで怪我をして3日前にはパイプラインで踵を怪我してしまい、ちょっと歩くのが大変なのさ。でも、サーフィンは大丈夫かな。波に乗ってもあまり気にならなかったからね」とケリーはヒート終了後にコメントを残していました。

SFの「ケリー vs ジョン・ジョン」は共に1本目にパイプでハイスコアを出したものの、すぐにバックドアのバレルを抜けてあっと言う間に18.16を揃えてしまったジョン・ジョンが終始優勢。
最後はケリーも諦めてインターフェア覚悟のドロップインでバックドアのバレルを抜けていました。

SFのもう一つのゴールデンカード、「イタロ vs ガブリエル」は2019年のファイナルの再現。
QFでエアーリバースの際に頭と腰を痛めてしまったイタロが姿を現しながらも、いつもの勢いがなく、このカードはガブリエルがリベンジを果たした形になりました。

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(QFで負傷したイタロ)
PHOTO:© WSL/Bielmann

「ジョン・ジョン vs ガブリエル」

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(ジョン・ジョン・フローレンス)
PHOTO:© WSL/Tony

ジョン・ジョン、28歳。
ガブリエル、26歳。

共に2度のワールドタイトルを獲得した同世代のライバルであり、仲間でもある二人のファイナルは、幻のシーズンとなった2020年CTを帳消しにするような素晴らしいエンディングでした。

ファイナルで先行したのは、続けてバレルをメイクしたガブリエル。
ジョン・ジョンも手堅くスコアをまとめて追い付き、僅差で後半戦へ。
終了間際にガブリエルが狙った波は潰されてしまった一方、ジョン・ジョンはバックドアでテクニカルなスキルを見せて逆転に成功。
ジョン・ジョンの初のマスターズタイトルが決定、終了のホーンの後、二人はハグを交わしていました。

「本当に難しいヒートだったから勝てて嬉しいよ。ガブリエルに勝てて興奮している。彼と競い合うことが自分が戦う理由でもあると感じているんだ。この場所で勝ててことにも凄い興奮しているよ。他に言葉がないね」と笑顔でファイナル直後のインタビューに答えたジョン・ジョン。

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(念願のタイトルを手に入れたジョン・ジョン)
PHOTO:© WSL/Tony

2度のワールドタイトル、3度のトリプルクラウン。
ワイメアでのエディまで制したジョン・ジョンでしたが、奇しくもマスターズの栄冠だけは逃していました。
2008年に14歳で初出場を果たしてから10回以上参加して2013年、2017年に準優勝、その他のシーズンはQFが壁になっていたほどマスターズとの相性が悪かったのです。

「最高に嬉しい。特にここ数年、ケガや色々なことがあったからね。今年最初のイベントがここで開催され、ホームブレイクでの勝利。これ以上のことは考えられないさ。2020年の締めくくりとして、また新しい年の始まりとして、最高だね。自分にとってパイプマスターズはツアー最大のイベントさ。自分のヒーロー達がこのイベントでサーフィンをして世界タイトルを獲得するのを見て成長してきたんだ。パイプでサーフィンをする人は皆、その波と小さな関係を持っている。そして、大会で優勝することは大きな偉業なのさ。自分にとっては最大の目標の一つだったよ」

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(ガブリエル・メディナ)
PHOTO:© WSL/Brent

CT開幕戦『Billabong Pipe Masters』結果
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
2位 ガブリエル・メディナ(BRA)
3位 ケリー・スレーター(USA)、ガブリエル・メディナ(BRA)、イタロ・フェレイラ(BRA)
5位 レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、ジョーディ・スミス(ZAF)、ジェレミー・フローレス(FRA)、五十嵐カノア(JPN)

パイプラインで初開催となったウィメンズCT

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(ウィメンズ表彰台式)
PHOTO:© WSL/Keoki

冒頭でもお伝えした通り、ウィメンズの『Maui Pro』はローカルサーファーがヒートが行われる朝に会場のホノルアベイでシャークアタックに遭遇。
後日、そのサーファーは亡くなってしまうことに...。

ハワイではコンテスト会場の許可を得るのが非常に難しく、代替会場として自然とパイプラインが候補に挙がり、WSLは最近通ったジェンダー平等の法案10を応援する団体としてもメンズと同じ会場で開催することを決めた経緯があります。

パイプラインでの開催はウィメンズCTは初。

JOBことジェイミー・オブライエン(HAW)のサポートのもとで戦ったカリッサ・ムーア(HAW)はパイプライン、バックドア共に乗りこなしていたものの、その他の選手は手こずっていた印象でした。

ファイナリストはカリッサとホノルアベイで唯一の10ポイントを出していたタイラー・ライト(AUS)
共に1本目はバレルに入りながらも潰されてしまい、ターンで攻めたタイラーがミドルスコアを重ねて勝利。
カリッサは最後にグラブレールでパイプラインのバレルを抜けるものの、スコアは伸びず...。

「ここにいることを信じられないほど幸運だと感じているわ。道を切り開いてくれた女性たちがいなければ、ここにはいなかったと思う。そして、今日、先人が積み重ねた頂上に登り、信じられないほどの特権を感じているわ」

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(タイラー・ライト)
PHOTO:© WSL/Keoki

昨年の最終戦で自らが「LGBTQ+」とカミングアウトしたタイラーは、背番号を13から23に変え、肩の国旗をオーストラリアから「LGBTQ+」コミュニティの象徴である11色の「プログレス・プライドフラッグ」に変更。
その想いを自身のInstagramに綴っていました。

「LGBTQ+コミュニティの誇り高いバイセクシャルの女性、同時にオーストラリア人として今年は両方の代表でコンテストジャージを着ることができたことを嬉しく思っている。プログレスプライドの旗は、私が本当の自分にもっと目を開かせてくれた愛を表しているの」

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(カリッサ・ムーア)
PHOTO:© WSL/Brent

無観客、ライブ配信のみで開催されたCT開幕戦。
当然、表彰式も無観客で行われ、選手とMCはマスク着用にソーシャルディスタンスを保っていました。
シャンパンファイトも遠慮がちと盛り上がりに欠ける表彰式でしたが、これもニューノーマルとして受け入れるしかないのでしょう。

次のCT第2戦は1月19日〜28日にオアフ島・サンセットビーチで開催される『Sunset Open』
メンズ、ウィメンズ併催で行われます。

なお、1月29日〜2月10日にはQS1,000『Volcom Pipe Pro』
CT第3戦『Santa Cruz Pro』はカリフォルニア・サンタクルーズで2月2日〜12日に開催されます。

ウィメンズCT開幕戦『Maui Pro』
1位 タイラー・ライト(AUS)
2位 カリッサ・ムーア(HAW)
3位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)、レイキー・ピーターソン(USA)、マリア・マニュアル(HAW)、セージ・エリクソン(USA)

WSL公式サイト



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