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『J-Bay Open』ミックがカムバック!



サーフィン業界を越えて世界的なニュースになったあの衝撃的なシャークアタックから早一年、南アフリカの美しいライトの波、「J-bay」ことJeffreys Bayで開催されていたCT第6戦『J-Bay Open』が現地時間7月16日に終了。

シャークアタック対策の方は、海にソナーセンサーが搭載されたブイを設置、空に監視用のドローンを配備、ラインナップの近くにはジェットスキーが常に待機するなど万全の態勢を整え、サメの姿は確認されず。それでもヒート中にイルカが選手のすぐ側で波に戯れるなど変わらぬ自然の豊かさを感じさせ、QFの僅か1ヒートのみが消化された一日を除くと波もパーフェクト(残念ながらサイズはアベレージでクラシックなラインアップは姿を見せず...)、改めて「J-bay」がワールドツアーで重要な場所であることを再認識させていました。

シャークアタックの被害者であるミック・ファニング(AUS)は、トラウマを乗り越えて参加し、イベント前のフリーサーフィン中に足首を負傷したことを全く感じさせず、素晴らしいライディングを披露。
もう一人のファイナリストだったジュリアン・ウィルソン(AUS)とSFで対戦し、揺るぎない強さを見せつけてファイナルへ。

今シーズン、本気でワールドタイトルを狙っているジョン・ジョン・フローレンス(HAW)とのファイナルでもアイスマンの異名を持つ冷静さでゼロ・ミステイクの完璧なパフォーマンスを崩さず、今イベントのハイエストスコア、9.93をこのファイナルで出してしまう驚異的な精神力でジョン・ジョンの追い上げをかわしてミック(写真最上部・下)が優勝。
まるでハリウッド映画のようなドラマティックな結末を迎えました。



「この優勝は特別な気分さ。今年はここに戻ってきて本当に感情が高ぶった。ジュリアンとのセミファイナルは特に感慨深く、彼との再戦は素晴らしい感じだったよ。様々な思いを胸にパドルアウトし、彼とサーフィンして生還出来たことは特別だね。昨年起こった嫌なことを払拭するためにここに戻り、それが実現出来たことにストークしている。これで次に進めるよ」とファイナル終了直後のインタビューに答えていたミック。

母が見守る中、2002年の初優勝から通算3勝(昨年は同率2位)を上げた「J-bay」でケリー・スレーター(USA)に並ぶ4度目の優勝。
今シーズンは毎年続くタイトル争いでのストレス、シャークアタック、兄の死や離婚などの私生活の問題を理由にスポット参戦を表明。
当初は地元ゴールドコースト、ベルズ、「J-bay」の3戦を提示。それにフィジーが加わり、6戦中、4戦に出場。
今回の優勝でランキング5位まで上昇して自力でのクオリファイがほぼ確実になったため、今シーズンはコンテストでのミックのサーフィンは見納めになる可能性もありましたが、次のタヒチをスキップしてカリフォルニア・トラッセルズには戻ってくる予定だそうです。

「5位は凄いけど、今年はその結果を気にしない。この1年、自分を支えてくれた全ての人に感謝したいよ。本当に大きなサポートをしてもらったから、この後のパーティーは楽しみにしておいてよ(笑) 今年はワールドタイトルのことを考えないので、気分が楽さ。ただサーフィンを心から楽しんでいる。今の自分にとってワールドタイトルよりも、サーフィンを楽しむことの方が重要なんだ」

ファイナル終了後のホーンが鳴った後、母なる海と対話するようにサーフボードの上で静かに佇んでいたミック。
あのシャークアタックの後に起きた人生の悪いことが全て重なるような負の連鎖をようやく断ち切ったのかもしれません。



昨年は足首の負傷で今イベントを欠場。復帰後は徐々に調子を上げてきましたが、タイトル争いからは脱落していたジョン・ジョン(写真上)
今年は強い意志を持ってワールドタイトルを狙っており、まずはワイメアの『The Quiksilver In Memory of Eddie Aikau』で史上最年少の優勝を決め、CTではブラジルで誰も止められないもの凄い勢いのサーフィンで優勝。
今回の結果でランキングを初の2位まで上げてカレントリーダーのウィルコことマット・ウィルキンソン(AUS)との差を大きく縮めています。

「2位に上昇して本当に良い気分だけど、ポイントについては考え過ぎないようにしている。今は一つのイベントで全力を尽くすだけ。今年、ここに戻ってこれたこと。そして、ミックとファイナルで戦えたことにストークしている。昨年はここに居なかったけど、ミックがカムバックする姿に感激したよ」

ジョン・ジョンにとって南アフリカは12歳の頃から訪れている場所であり、「J-bay」で初のファイナル進出は特別なものだったようです。
インタビューの最後にはタイトルレースのことを尋ねられ、「丁度、一年の半分にきて、これから待っているイベントが楽しみさ。毎年、後半戦は特に楽しいし、結果も残しているからね。次のタヒチではビッグウェーブを願いたい。ロワーズは世界で最もリッパブルな波さ。フランス、ヨーロッパレッグも面白いし、最後のパイプは待ち切れないね」と話していました。



昨年までは相手のペースに巻き込まれて崩れてしまうことが多かったジョン・ジョンでしたが、今年は自分のサーフィンに集中しており、今回のファイナルでもスコアが出やすかったターン、エアーリバースのコンビネーションをミスなく重ねて追い上げを見せていました。

バレル勝負のタヒチ、2014年にはファイナルまで進出しているカリフォルニアのローワーズ、結果を残しているヨーロッパレッグ。
そしてホームのパイプラインと残りのイベントを考慮するとウィルコよりもジョン・ジョンが有利と考えられます。
怖いのはランキングを2位から3位に下げたものの、ポイント差的にはフィジー戦終了後よりも縮まっているガブリエル・メディナ(BRA)の存在。
今、一番プレッシャーを感じているのは、ウィルコでしょう。

次の第7戦は8月19日〜30日にタヒチ・チョープーで開催される『Billabong Pro Tahiti』
その前にカリフォルニア・ハンティントンビーチでは7月25日〜31日にQS10,000並びにウィメンズCT第6戦『Vans US Open of Surfing』が開催されます。



『J-Bay Open』結果
1位 ミック・ファニング(AUS)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 ジョシュ・カー(AUS)、ジュリアン・ウィルソン(AUS)
5位 ジョーディ・スミス(ZAF)、ケリー・スレーター(USA)、ガブリエル・メディナ(BRA)、フィリッペ・トレド(BRA)

WSL Samsung Galaxy Championship Tour
『J-Bay Open』終了後のランキング
1位 マット・ウィルキンソン(AUS) 34,250pt
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 31,900pt
3位 ガブリエル・メディナ(BRA) 29,200pt
4位 エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA) 24,400pt
5位 ミック・ファニング(AUS) 23,450pt

WSL公式サイト



photo: WSL Covered Images

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