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2004年WCTクイックシルバープロ部原 大会“裏”レポート


CJホブグッドの劇的な逆転優勝で大成功のまま幕を閉じたWCTクイックシルバー・プロ。通常のコンテストレポートは既にお届けしましたが、せっかくの日本開催のイベントなので、今回は特別に、千葉在住のBCMパトローラーからの「大会 "裏" レポート」をまとめてみました。いつもとは違った視点で、もう一度コンテストを振り返って見て下さい!


皆さんどうも。とうとう終わっちゃいましたねぇ、WCTクイックシルバー・プロ。部原と言えば過去にも数々の名勝負があり、古くはトム・カレンからケリーやロブ・マチャドの優勝、さらには久我孝男・福地孝行がそれぞれ9位に入ったこともあるというポイント。その部原での10年振りの開催ともなれば、開催前から多くの人が期待するのも当然だったけど、今大会はその期待を裏切らない素晴らしい大会だったと言えるのではないでしょうか?
予定日1日目がキャンセルになったのも、少し待てば台風のスウェルが入って来るのを見越した好判断。ちなみにこの日の選手たちの過ごし方もいろいろで、朝からコンテスト会場の部原で”世界レベル”のフリーサーフィンを披露して一般サーファーをうならせる選手もいれば、ほとんど海にも入らずにリラックスという選手も。地元サーフショップやコンビニでいきなりトップ選手に出くわした人も多かったのでは? アンディやパーコ、オッキーなどの人気者を擁するビラボン・チームは一宮のバー”トパンガハウス”でビリヤードに興じていたし、中には翌日の試合などおかまい無しに夜の六本木を目指して出動した選手もいたとかいなかったとか・・・。


そして予定日2日目、部原ビーチは3−5ftにサイズアップ。前日には「明日も波小さくてキャンセルじゃないの?」なんて囁かれていたが、予想以上に早く台風18号からのスウェルが届いてめでたくコンテストがスタートとなったのでした。WCTのコンテストではラウンド1を3人で争い、1位がそのままラウンド3へ、2位と3位がラウンド2へ進むという形式・・・ということは、つまりラウンド1で負けてもまだ先があるという訳で、トップクラスの選手たちには見ていてかなりの余裕が感じられましたね。さすがにWCT選手は波に乗れば「これでもか」と言わんばかりの際どいポジションで技をかけてくるので、期待の日本人選手4名(小川直久、高梨直人、大野Bros)も、残念ながらラウンド1を1位通過できず全員ラウンド2へ。
そしてこの日に行われたラウンド2の第4ヒートまでで、全ての日本人が早々と敗退。う〜ん、まだまだ世界の壁は厚いということか・・・。



予定日3日目。更に強まった台風18号からのウネリを受けて、なんとコンテスト会場が部原からマリブへと移動! これってかなり歴史的なこと。日本有数のクラシカルポイントで世界のトップサーファーが競演という、見る者にとってはまさに夢の様な展開!! 実は主催者側としては会場の整った部原ビーチでコンテストを継続することを望んでいたらしいのだが、イマイチのオープンブレイクになっていた部原を尻目に、選手達が続々とマリブPに移動。パーフェクトに割れるマリブのライトブレイクを見れば主催者側も了承する他は無く、遂にマリブでのWCTにゴーサインが出たとのこと。
まったく信じられないといったマリブPでのWCT!! 日本でも屈指のリーフブレイクにWCT選手たちが波を切り刻み、フルドライブの深いボトムターンから垂直に上がってフィンを抜いてのリバース、etc.・・・と一瞬も目を話せないヒートの連続。もちろん時折、ディープなチューブライドも有り。 周辺住民のパニックとは裏腹に、ギャラリーはヒートアップした一日となりましたねぇ。たしかにマリブPも前からコンテストの候補地のひとつとはなっていたのだけど、いざ移動となれば少ない駐車スペース等の数々の問題があったのも事実。今後は急な移動を想定してすみやかに進行できる段取りが課題となるでしょう。運営側の皆さんの頑張りに期待!
(勝手な事言うな!って怒られそうですが)



予定日4日目(=ヒート開始から3日目)、会場は部原に戻ってラウンド2の途中からラウンド4までのヒートが続いたのですが、裏レポートなので、ここでヒートとはちょっと関係ない話をひとつ。
ラウンド3のケリーvsベッシェンのヒートの後、ちょっとした事件がありました。左奥のインサイドまで波を乗り継いで上がって来たケリーに、待ち構えていたファンが一気に群がり、セキュリティーもケリーに向けて一目散にダッシュ! ケリーをガードして正面スタンドに無事に到着したのは良かったのですが、その一方でかわいそうだったのはベッシェン。セキュリティーが全員ケリーを守りに行ってしまって、取り残されたベッシェンはファンに囲まれ揉みクチャ状態! いかに敗者とは言え、セキュリティーが1人も来なかったベッシェンは相当ご立腹のご様子でした・・・。


そんなこともありながらもコンテストはスムーズに進み、ラウンド4の第4ヒートで遂にアンディが今大会唯一となったパーフェクト10を叩き出したのです!
しかしこのアンディのライディング、ちょっと物議を呼んでいたのも事実。確かに3連発の凄まじいリッピングを繰り返してはいたのだけど、セクションをつなぐ厚いところではボードを叩きながらなんとか進んだような場面もあって、ギャラリーのみならず選手・関係者からも「少し点高すぎない?」との声が漏れていたとか。
続くラウンド4の第5ヒートではこの日2度目となるケリーの登場。好調にポイントを稼ぐケリーの前にセットが入りテイクオフ。真っ直ぐに降りてターンに入ると、その目の前のポジションに水中ショットを狙っていた日本人カメラマンが・・・。
ヘッドジャッジからDJに指示が飛び、カメラマンはすぐに海から上がらされ、コンテストディレクターから直々に注意を受けていたようでした。そうは言っても、ギリギリのポジションでベストショットを狙う水中カメラマンがいてこそサーフシーンが盛り上がるのも事実。注意の際には「これにめげずに日本人カメラマンも頑張れ」という励ましの言葉も添えられていたようでした。

こうしてクォーターファイナルを残したところで大会3日目も無事終了し、主催者側の狙い通り、日曜日に最終日を迎えることに。天気こそ前日同様で雨も混ざる曇り空となったが、波の方はムネ〜カタ位のサイズは残って面もキレイなグッドコンディション。

■クォーターファイナル
ヒート1。ダレン・オラファティ−とクリス・デイビッドソンというオージー同士の組み合わせ(ちょっと地味?)となったこのヒートは、ダボちゃんことクリス・デイビッドソンに軍配。
ヒート2。現ワールドチャンプでカレントリーダーのアンディに今大会絶好調の人気者パーコが挑む。確実にポイントを稼ぐパーコに対して、テイクオフから1発目のリッピングも今ひとつ爆発力に欠けるアンディ。つないだ後もクローズセクションに合わせて当てるだけと精彩を欠くライディング。おまけに波数も少なく、アンディはあえなくここで敗退となってしまった。
ヒート3。ワールドタイトルを6度も獲っているケリー・スレーターの登場。やはり未だにライディングは色褪せず、エアリアルを含む素晴らしいライドでポイントを重ねる。 しかし対するカラニも、それほど目立たないながらも確実にポイントを稼いで逆転圏内につけている。そして終了間際、カラニが最後の波で逆転!前のヒートでアンディが負けていただけに、う〜ん、もったいないよ、ケリー。ちょっと余裕持ち過ぎ?とも感じられたヒートだった。
ヒート4。顔・姿・ライディングともに僕らにはほとんど見分けのつかない双子のホブグッド兄弟の対決。2001年のワールドチャンプでもあるCJがヒートアップ(ゼッケンが無ければホント区別がつきません)。

■セミファイナル
ヒート1。ダボ 対 パーコ とまたしてもオージー対決。パーコはなんと、エアー⇒コンパクトチューブ⇒エアーのコンボをメイク!パーコの勝利。
ヒート2。何故かあまり目立たぬままにここまで勝ち上がっていたカラニだが、ここでCJに敗れる。


■ファイナル
今大会のキーパーソンとも言えるパーコ、序盤からハイポイントを叩き出し、ビッグエアをもメイク。対するCJは良い波をつかめずにポイントは離される一方。残り時間10分のところで、既に10ポイント以上離れてしまい、1本のライディングでは逆転不可能。これまでよりも高いポイントのライディングが2本必要というこの絶体絶命の状況下、CJはフロントサイドのライドで8.23Pをゲット。しかし逆転にはまだ8ポイント以上が必要。刻一刻と時間は経過する。この段階で、ほとんどの人が「パーコで決まりだな・・・」と思ったのでは? ところが終了直前、最後のセットが入った。プライオリティがあるパーコがまずテイクオフ。すさまじい2連発のリップに目を奪われたが、ふと目を移すと、なんとCJが裏の波にテイクオフしている!


そしてCJもエアリバースを含む気迫のライディングで締めくくりタイムアップ! 2人がビーチに上がって来るが、まだスコアはコールされない。コンピュータースコアリングですぐに発表されるのはわかっていても、この発表までの数十秒がもどかしかった。 そして、さすがのDJも興奮気味にCJの逆転優勝をコール!会場のテンションは一気に上がり、一同鳥肌もの。CJは嬉しさのあまりボードを天高く投げ上げて、両手を上げてのガッツポーズ。

極めてドラマチックなエンディングとなった今回のWCTクイックシルバー・プロ。始まる前には波があるかどうか懸念さえされていたが、蓋を開ければコンテスト開催の4日間に渡ってグッド&エクセレントのコンディション。今後も語り継がれる大会となりそうですね。 そして来年もまた、日本でWCTが開催されることを、心から望んでいる今日この頃です(完)。

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