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「サーフィン競技もテクニックではなくフィジカルなのか」 - F+コラム

Text by つのだゆき

サッカーには興味もないし詳しくはないけど、超有名選手の名前は聞いたことがあるし、顔も知っているかもしれない……かもしれない、という失礼なレベルだ。
そんな私でも中田英寿とトッティは聞いたことがある。
この大物たちが対談をしたようで、その中で、現代のサッカーはテクニックではなくフィジカルだ、みたいな話があり、だから面白くなくなった、みたいな主旨の会話があったらしい。もちろん興味がないからその対談を見たり読んだりしたわけではないけど、バラいろダンディ(TOKYO MX)で前園氏がその件を解説していたので、知った。その「テクニックではなくフィジカル」の部分に引っかかって、いろいろ考えた。
まぁ、要は現代サッカーにはテクニックはいらない。猛スピードで何分走り続けられるかが、ゲームのカギを握る、みたいなことなんだけど、確かにそうであり、素晴らしいテクニックやタクティクスを持っていても、走れない選手はいらない、みたいな時代がやってきている、みたいな話をしていた。
これ、けっこうほかのスポーツでも進行中なのかな、という気がする。

特にタイムを争うような記録スポーツではずいぶん前からテクニックではなくフィジカル、という流れで、どうやって選手の無理なサイボーグ化を防ぐかに苦心してきた。
陸上、水泳、スピードスケート……恵まれた体格あっての記録だ。
バレーやバスケなどの球技も高さの時代。柔道という日本のお家芸を危うくしたのもその辺だ。それは「柔よく剛を制す」の時代から、力任せにねじ伏せる時代への変遷でもある。サーフィンもまさにその過渡期にあるかな、と思う。

エフプラスコラム - コナー・オレアリー
恵まれた体格も武器の一つとするコナー・オレアリー(Photo by Beatriz Ryder/WSL)


でかきゃいいわけではないけど、体格の大きい人のほうが使うボードも大きいのでスプレーも大きいし、ラインも大きいし、見栄えがいい。迫力という点では有利だ。
今のところ小さくても飛べれば勝負になるかもしれない。しかしその飛びはかなりのクオリティを要求されるだろう。
でかきゃいい、飛べりゃいい、みたいなことになると、ライディングに「味」がなくなる。この「味」の部分が、サッカーならオーバーヘッドキックみたいな華麗なテクニックだろうし、サーフィンならスタイル、ライン取り、ということになるんだろうと思う。
カッコいいチューブの入り方、抜け方、ストールの仕方……この辺はもうどうでもいい。アクションとアクションのつなぎもどうでもいい。ボトムターンもどうでもいいし、スタイルまでは見ていられない。それらに目をつむって、トップアクションのディテールを見る、という方向にここ何年もジャッジングが変化してきていると思う。

エフプラスコラム - トム・キャロル
パイプで見せたターンはトム・キャロルの代名詞(Photo by joli)

エフプラスコラム - トム・カレン
スタイルマスター、トム・カレン(Photo by joli)

エフプラスコラム - マーク・オクルーポ
マーク・オクルーポのオリジナリティあるサーファー(Photo by snowy)

エフプラスコラム - マーティン・ポッター
マーティン・ポッターも根強い人気を誇った(Photo by snowy)

昔を懐かしむわけではないけど、キャロルがいてカレンがいて、オッキーがいてポッツがいてガーラックがいて、みたいな、個々の個性あるラインとかスタイルのあるサーフィンが見られないのはやはりつまらない。その辺を嘆いてロブ・マチャドはツアーを去ったけど、そのロブのような強烈な個性が見当たらない。

エフプラスコラム - ロブ・マチャド
サーフィンも風貌もスタイル炸裂だったロブ・マチャド(Photo by snowy)

すごいことをやってるんだけど、なんかみんな同じような感じ。フィリッペもイーサンもジャックロボも、うまいしすごい。でも、鳥肌の立つような感動みたいなものは希薄だ。すげーな、とは思うけど、やっぱいいなぁ、とはならない。今の子はあれでそうなるのかな? オバサンはジョンジョンがそういうものを持っていた最後の世代かもしれない、と思う。
サーフィンは個々の個性が出せるアートであり、フィジカルだけではない「味」がある。でもライディングを数値化するには、フィジカル方向に進むのが容易なのだろう。
誰かが新しい何かを始めれば、次の試合ではみんながそこを目指す。サーフィンの均一化が顕著だ。「個々の味」をポイントに反映できないあたりがコンペの限界なのかなと思う。
テクニックよりフィジカル。個性やスタイルなんて、今は昔。

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