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「掴んだ波の数と勝利の関係」- F+コラム

Text by つのだゆき、Photo by snowy

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メリクリ。Eさんカレンダー、こちらで好評につき残数が危うくなってきたので余っているものをかき集めて少し回してもらったとたんにパタッとオーダーが止まり、まぁ、世の中、こんなもんだよなぁ、と、とらぬ狸の皮算用を反省。人生こういうのはよくあることで、サーフィンの試合とかでもそれまでバンバン波が来ていたところに移動したとたんにセットパタッと止まる、とか、10分以上待ってて来なくてしびれ切らし、動いたとたんに今まで待ってたところに来るとか、そういう合わないよなぁ、というのはよくある。だからといて待って待ってこないで終わる、ということもあるので、その辺の見極めは難しい。ただ、今までの長いウォッチャー経験によれば、やはり乗らない人は負けることが多い。サーフィンの試合は波数をたくさん乗る争いではないけれど、結果としてたくさん乗っている人が勝ち上がっていくことが多い。特に4人ヒートでは。それがどういうことなのかけっこう考えたりしたこともあった。
まぁ、確率論に近いのかもしれないと思う。

1ヒート20分、その20分間にそのエリアに入ってくる波の数は決まっている。例えば4人ヒートでひとり平均10本としてトータル40本、その中でエクセレントスコアになる波は1割無いかな、と思う。4本。誰もいい波ではミスをしないという前提で、これをひとり占めしちゃえばぶっちぎり勝利。2本確保できればまずヒートアップ。でもこのふたつのケースはけっこうレアなケースで、たいていの場合みんなで1本ずつ分けて、2本目争いということになるだろう。アベレージンスコアでの0.5ポイント争い。
勝つときはその0.5で勝つし、負けるときはその0.5で負ける。0.5なんてジャッジの気分次第でどうにでも転ぶポイントだ。
そういう風に考えれば、戦略としてセットのポテンシャルのある波で相手にミスを誘うとか、その波を誰も乗らないように動くとか、相手を奥に追いやるとか、褒められたやり方ではないかもしれないけど、いろいろあると思う。その時間内に来るベストな4本を3本にする、2本にするというのは戦略として有効だ。もちろん一番いいのは自分が乗ってベストな波数を減らしていくことだけど、そうじゃないやり方もあると思う。
相手がプライオリティでも、ぴったりくっついてプレッシャーをかけるとかはその典型例だ。
で、残りの36本のうちの半分の18本はまぁ、どっちにも転ぶような波なんだと思うし、あとの18本はしょうもない波なんだろう。この、18本のどっちにも転ぶような波で、いいほうに転ぶ波が明確にわからないとしたら、たくさん乗ったほうが当たるよね、きっと。クジだって例え5等でも1本より10本ひいたほうが当たるでしょ、普通。

いい波を待つというのはとても危険なことで、一度見送ると次もこれじゃないのかな、あれじゃないだろう、と疑心暗鬼になり次々に見送ってしまう傾向が強い。自縄自縛。プライオリティでも回ってこようものならますます慎重になり、待って待って結果的には追い詰められて、しょうもない波に手を出してワンミス時間切れ。なまじプライオリティがあるとこれで決めなきゃ終わり、みたいになってすます乗れなくなるというのはよくあることだと思う。

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以前書いたコラム「コンペティターとして“頭の良い”サーファーは誰か?」もぜひ読んでみてください

まぁ、これがCTの上のほうとなると話はまるで違って、ほとんどの選手がエクセレントの4本を明確に見分けられるので、それを待つ。もちろんミスなんかしないので、その中での技術の戦いになることが多い。だからそんなにわしゃわしゃ乗るというシーンも少ない。ただしその4本の時のプライオリティのないほうのプレッシャーのかけ方とか、動きとか、その辺は見ていてとても興味深い。波数が少なければ少ないほど、この辺の駆け引きは激しくなる。ガブ、ケリー、いやらしいんだよね、と思うぐらい冷静、冷徹、そしてうまい。
試合は人と人の心理戦であり、一定数の波の中からベスト2を確保するゲームだ。そういう風に考えると試合も違った楽しみ方がある思う。

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