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『Billabong Pipe Masters』R2 フィリッペvsブルースの結果は?



現地時間12月11日、トリプルクラウン並びにワールドツアーの最終戦『Billabong Pipe Masters』は2日目を迎え、敗者復活戦のR2から再開。
マンオンマンのヒートを2つ同時に行なう「デュアルフォーマット」を使用して足早に進行。
北西よりのウネリから北北西ウネリにシフトしながら落ち着く傾向となり、公式4-6fttレンジでパイプラインよりもバックドア勝負。
朝は美しく大きな虹が頻繁にかかり、トレードウィンドも弱まって良い一日を予感させましたが、日中は昨日同様に風が強まり、バレルになる波も少なくなったため、コンテストディレクターのキーレン・ペローはR2の12ヒートだけで翌日以降の持ち越しを決断。
その後にウィメンズの招待選手4名によるスペシャルヒート『Pipe Invitational』が行なわれました。

ミック、フィリッペ、エイドリアーノ、ガブリエル、ジュリアンの5名(オーウェンは脳出血により欠場で脱落)によるタイトル争い。前日のR1を落としていたフィリッペ、エイドリアーノ、ジュリアンの3名は揃ってラウンドアップを決めてタイトルレースは続行。



オープニングヒートに登場したフィリッペ(写真最上部)はリプレイスメントで参加のブルース・アイアンズ(HAW・写真上)と対戦。
2001年のパイプマスターであり、今は亡き、兄アンディのためにも本気で優勝を狙っているブルースは非常にやりにくい相手でしたが、フィリッペは後半にパイプライン、バックドアで7ポイント台を2本まとめ、ブルースは波を待ち過ぎてロースコア止まり。
あっけなく勝負は決まってしまいました。

「昨日はハードかつ良い波が入らない状況でジェイミー・オブライエン、コロヘと対戦してナーバスになった。今回のウネリの向きはパイプに完璧ではないしね。今日通過出来たのはラッキーさ。昨日からブルースとのヒートのことをずっと考えていたんだ。彼はこの波のベストなサーファーの一人だし、彼と対戦出来ただけで光栄。そして、彼に勝つために良い波だけを狙っていったよ。リスペクトしているブルースを倒せてストークしている。ヒート終了後、彼に向かってパドルして言葉を交わしたんだ。子供の頃から彼がバックドアや他の場所でサーフィンしている姿に憧れていた。だから、彼と喋れるだけで本当に幸せだったよ」

20歳のフィリッペと36歳のブルース。フィリッペにとって子供の頃に全盛期を迎えていたブルースは憧れのサーファーであり、永遠のヒーロー。タイトル争いも大切ですが、もっと深く大きな意味があったヒートだったのかもしれません。

次のフィリッペの対戦相手はオーウェンのリプレイスメントとして参加のメイソン・ホー(HAW)
彼もまたこの波では最強の相手であり、大きな壁になりそうです。



H3に登場したエイドリアーノ(写真上)は、32名で争われたトライアルで強豪ハワイアンを相手に優勝したジャック・ロビンソン(AUS・写真下)と対戦。
バックドアでのコンパクトなバレルライドでミドルスコアからスタートしたエイドリアーノ。
ロースコア止まりだったジャックは残り10分を切ってからパーフェクトなポジションからのディープなバックドアのバレルで7.33をスコア。ニード1.43まで追い上げますが、エイドリアーノはジャックよりも深い位置からバックドアのバレルに包まれ、8.27。ジャックは最後の波で再びバックドアにテイクオフしてバレルをメイクするものの、サイズ、深さが足りず、5.17。僅かに逆転には及ばず、エイドリアーノに軍配が上がっていました。

「JOB(ジェイミー・オブライエン)の家に滞在しているんだ。数年間に彼の家を訪ね、それ以来、一緒にパイプラインで練習しているんだ。彼にはいくら感謝しても足りないね。彼はオレが何をしたいか十分に理解してくれているし、それはオレのキャリアで大きな意味を持つことだよ。このイベントは本当に優勝したい。自分は母国のブランドだけで、クイックシルバーやビラボンのような大きなスポンサーがついていないから、パイプの目の前の家に滞在出来なかったんだ。だから、ジェイミーの家に行って’あなたは凄い人だ’と言い、’ここで毎日サーフィンしたいんだ。だから、泊まらせてください。もし、ダメならこのドアの横で寝てしまうよ’と頼んだのさ。ここのローカルのことは本当にリスペクトしている。出来る限り、海で過ごしたかったんだ」



「Volcom」「Hurley」「Billabong」「Ripcurl」など、パイプラインの目の前にはノースショアのシーズン中に滞在するための家が用意されており、各ライダーやローカル達の住処になっています。
日本語放送のMC、脇田貴之&辻裕次郎によるとパイプラインはコンディションが変わりやすく、目の前に滞在することが他のどのポイントよりも重要であると言います。
他のブラジリアンと比べてスポンサーに恵まれていないエイドリアーノにとって、これは大きなハードルだったのですが、ワールドチャンピオンになるにはパイプラインで優勝しなければいけないという信念を胸に数年前にJOBの家をノックしたそうです。

ヒート前には海の状況やアドバイスをするなどJOBもエイドリアーノに協力的で、それはエイドリアーノのワールドタイトル獲得という一途な想いが心を動かしたのかもしれません。
次のR3のJOBの対戦相手はタイトル争いで最も有利な位置にいるミック。もし、ミックが負けて13位になった場合、エイドリアーノが必要なのは9位以上。もちろん、フィリッペ、ガブリエル、ジュリアンの成績にも左右されますが、重要なヒートになることは間違いありません。

勝っても負けてもJOBのことはレジェンドだと思っているし、彼に対しての感謝の気持ちは変わらない。また、今回の対戦相手のジャックに関しても誉め称え、しかし、自分がどれだけタイトルに力を注いできたかを話す時は涌き上がる感情を抑える場面も...。
日本語放送のMCの二人、昨日ゲストに来た大野修聖もエイドリアーノを一番応援したいとのことです。



タイトルレースの一方で最終戦はリクオリファイのギリギリラインにいる選手にとって人生さえも左右する大事な勝負。
昨年、トリプルクラウンの2イベントで一気に返り咲きを果たしたダスティ・ペイン(HAW)もその中の一人でしたが、ケリー(写真上)とのヒートに敗れ、CTでは最下位に...。
QSの方では13位。最終戦の他の選手の結果に左右され、極めて厳しい状況です。

ダスティを敗ったケリーは以前から不調を訴えていた背中の痛みに加え、2日前まで熱と筋肉痛でサーフィンもしていなかった病み上がりでの参戦。R1ではパーフェクト10をスコアした同郷のC.Jに主役を奪われたものの、R2では得意のバックドアでバレル、抜けてからのトレードマークのカットバックも披露して7ポイントを2本揃えていました。

インタビューではダスティは才能と結果が合っていないサーファーだと語り、タイトルについては、「ここまではミックが順調だと思っていたけど、今はプレッシャーがあるように見える。彼の次の相手はジェイミーだからね。多くの人が彼をこの波でフロントサイドでもバックサイドでもベストと称え、過去10年間で誰よりもここで多くの波に乗ってきたと思う。ミックにとっては厳しいよね。でも、彼は3度のワールドタイトルを獲得してきたし、勝つ可能性はある。例えば、ジャックはあの大きなパイプでジェイミーを敗ったし、ジャックよりもミックの方が優れたコンペティターさ。ミックにとっては真のチャンピオンになるためのテストになる最初のヒートだと思うよ」とコメント。

誰がタイトルを獲ると思う?との問いには、言葉に詰まりながらも「今は分からないね」と返していました。



その他にR2を通過したのは、タジ・バロウ(AUS)、アダム・メリング(AUS)、エイドリアン・バッカン(AUS)、セバスチャン・ズィーツ(HAW)、グレン・ホール(IRL)、キアヌ・アシング(HAW)、ジョエル・パーキンソン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)
ハレイワで優勝してトリプルクラウンのカレントリーダーでもあるウェイド・カーマイケル(AUS)はジュリアンに敗退。
現在、残っている中ではガブリエルが2位、ミックが4位、5位がジョン・ジョンでチャンスがあります。

なお、R2終了後はウィメンズのスペシャルヒート『Pipe Invitational』が行なわれ、3Xを達成したカリッサ・ムーア(HAW・写真上)、2位のコートニー・コンローグ(USA)、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したタティアナ・ウェストン・ウェブ(HAW)、3月に開催されたパイプラインでのQSで優勝したカーラ・ケネリー(HAW)が争い、カリッサがバックドアでスタイリッシュなバレルライドを披露。
メインイベントを含めてもこの日のハイエストスコアとなる9.43と9.17。トータル18.60で2位以下をコンビネーションに追い込んで圧勝。
最終戦のホノルアベイよりもハードなバレルを簡単そうにメイクしていたのは、さすがとしか言いようがありません。

ネクストコールは現地時間12月12日の早朝7時30分(日本時間の13日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると北西、北北西ウネリはダウン傾向となり、レイデイとなる可能性が高そう。
次のウネリは来週の火曜〜木曜に入る見込み。

イベントの全てのヒートは「HEAT ANALYZER」で振り返ることが出来るので、公式サイトもチェックしてみてください!

WSL公式サイト

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト





photo: WSL Covered Images

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