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五十嵐カノアが遂にCT初優勝!CT第3戦『Corona Bali Protected』ファイナルデイリポート

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PHOTO: © WSL/Dunbar

昨年、2013年の『Oakley Bali Pro』以来、5年ぶりにCTの舞台に選ばれ、イタロ・フェレイラ(BRA)が圧勝した『Corona Bali Protected』
今年は変則的にオーストラリアレッグの間に第3戦として開催され、現地時間5月25日に終了。

会場のクラマスがあるバリ島の東サイドは基本的にオフシーズン。特に風が不安定になる時期のために13日間のウェイティングピリオドをフルに利用して進行。
難しいコンディションの日も多く、イタロを始め、カレントリーダーのジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ジョーディ・スミス(ZAF)とランキング上位の選手がR3(Round of 32)で早々と敗退した一方、ダークホースの活躍が目立っていました。

QF以降を残したファイナルデイの一番の注目は、ケリー・スレーター(USA) vs フィリッペ・トレド(BRA)
スーパーヒートと称されたこの勝負は文字通り素晴らしい戦いとなり、バレル合戦の末にケリーが勝利。
まるで優勝したかのように喜んでいたケリーの姿が印象的でした。



ケリーのSFの相手は五十嵐カノア(JPN)

貴重かつ日本人目線だとフィリッペとの対戦よりもスーパーヒートであったこのカードはR2(Elimination Round)からリズムに乗りまくっているカノアが制し、ファイナルは8ポイントを2本出してこちらもエンジン全開のジェレミー・フローレス(FRA)との勝負。
予想とは裏腹に風がおさまって公式6-8ftレンジのクラマスはイベント期間中で最も良いコンディション、コンテストディレクターのキーレン・ペローも胸を撫で下ろしたことでしょう。

ファイナルのピークは序盤、カノアがフローターからのパワフルなレイバックで会場を大いに盛り上げてメンズではイベント唯一の9ポイント台をスコア。
後半には3度のCT優勝経験があるジェレミーがバレル狙いから戦略を変え、二つのビッグターン、インサイドまでメイクして8.93をマーク。バックアップスコアも伸ばして追い上げてきますが、カノアは冷静にプライオリティを利用して逃げ切ることに成功。
2016年からのキャリアで2度目のファイナル。そして、念願のCT初優勝を決めました!

「全てが報われたよ。これまでこなしてきた努力の積み重ねはこの瞬間のためさ。最初のラウンドは波にも乗れず、最悪だった。これまでやってきた努力のことを考えたよ。全ての小さな積み重ね、ジムでのトレーニング、サーフィン。一人でも繰り返してきたことが今ここで結果になった。これは自分にとって本当に大きな意味があるんだ。言葉では説明不可能なほどにね」

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パワフルなターンに安定感がカノアの武器
PHOTO: © WSL/Dorsey

2018年、2020年東京オリンピックの代表を視野に入れ、コンテストでの登録をアメリカ国籍から日本国籍に変更したカノア。
初の日本人CT選手として大きな話題となり、ヒート後のインタビューでは必ずと言っていいほど最後に日本語でメッセージを残しています。
21歳、キャリア4年目にして念願のCT初優勝を果たし、ランキングも一気に2位に浮上。
2020年東京オリンピック出場の条件であるトップ10入りはもちろん、タイトル争いにまで絡んできました。

「全てのヒートに大きな意味があった。誰が相手でもどんなコンディションでも関係なく全力を尽くしたよ。最初から最後まで同じサーフィンをしてきたけど、ファイナルがピークで全て出し切った感じがしたね。ジェレミーとのファイナルを戦えたのは光栄だし、ケリーとの対戦も最高だった。全てのヒートで全力を尽くして目標だったキャリアの早い段階でのCTの優勝を達成することが出来たよ。本当に嬉しい」

昨年、『Vans US Open of Surfing』で2連覇を果たした時も感情をむき出しにして身体全体で喜びを表現していたカノアでしたが、今回はそれを上回るような高揚感。
表彰台では民族衣装を纏い、バリ島の伝統的なバロンと呼ばれる獅子の姿の聖獣をモチーフとしたトロフィーを手に入れていました。
もちろん、日本語でのメッセージも忘れずに大原洋人、稲葉玲王などに向けてなのか、次の日本人のCT入りを願うようなコメント。
更にポルトガル語でもメッセージを残していました。



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PHOTO: © WSL/Dunbar

今年からメンズと賞金が同額になり、コンテスト的にも公平性が図られているウィメンズ。
カレントリーダーのキャロライン・マークス(USA)、ディフェンディングチャンピオンのレイキー・ピーターソン(USA)がR3(Round of 16)で敗れる番狂わせもあり、ブリッサ・ヘネシー(CRC)、ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)とメンズ同様にダークホースが活躍。
しかし、最後に笑ったのはファイナルで昨年7度目のワールドタイトルを獲得したステファニー・ギルモア(AUS)でした。

「信じられないわ。サリーはバレル狙いだったけど、私は自分のゲームプランにこだわり、良い波を見つけてベストを尽くしたの。後半は本当に良いスコアだけが必要と考えたわ。全てのイベントで実際に出来た訳ではないけど、今回は考えて行動に移したの。目を閉じてラインを保ち、立ち上がった。最高だったわね」

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バレルとターンのコンビネーションで10ポイントを出したステファニー
PHOTO: © WSL/Dorsey

サリー・フィッツギボンズ(AUS)とのファイナルは早々とミドルスコアを重ねたステファニーがリード。
バレルに固執していたサリーは出口を見つけられず苦戦していました。
ラスト3分、プライオリティを利用してセットを掴んだステファニーはビッグターンからストール、最高のタイミングでバレルに入り、姿を見せてからリップラインに沿ってのフィニッシュまでメイク。
このライディングにイベント唯一の10ポイントがコールされ、サリーをコンビネーションに追い込んで圧勝。
CT通算30勝目を決め、ランキングも5位から一気にトップに!

「ランキングトップになれる可能性があるなんて知らなかったわ。本当に嬉しい。今週は黄色いネイルに黄色い物を身につけて自分の意思をはっきりさせていたのよ。マーガレットリバーでは何が待ち受けているか分からない。でも、全力を尽くすつもりで向かうわ。これから一年イエロージャージを保持したい。本当に嬉しいわ」

ちなみにカノアもステファニーもスネークことジェイク・パターソン率いる「Snaketales」のメンバー。
ファイナル終了後は3人で記念撮影をしていたそうです。



ランキングではジョン・ジョンのトップはそのままで、カノアが2位に浮上。
ウィメンズはステファニーがトップに立ち、キャロラインが2位に転落しています。

次のCT第4戦『Margaret River Pro』は5月29日〜6月9日に開催。
昨年はサメ騒動でキャンセル、バリ島に持ち越されたこのイベント。
大自然が残るオーストラリア・マーガレットリバー、通称「マギーズ」が舞台となります。

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congrats to Kanoa!
PHOTO: © WSL/Dunbar

CT第3戦『Corona Bali Protected』結果
1位 五十嵐カノア(JPN)
2位 ジェレミー・フローレス(FRA)
3位 マイケル・ロドリゲス(BRA)、ケリー・スレーター(USA)
5位 ウェイド・カーマイケル(AUS)、コロへ・アンディーノ(USA)、フィリッペ・トレド(BRA)、エイドリアン・バッカン(AUS)

ウィメンズ
1位 ステファニー・ギルモア(AUS)
2位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)
3位 ブリッサ・ヘネシー(CRC)、ニッキ・ヴァン・ダイク(AUS)
5位 カリッサ・ムーア(HAW)、シルヴァナ・リマ(BRA)、コートニー・コンローグ(USA)、ブロンテ・マコーレー(AUS)

2019 Men’s Championship Tour
『Corona Bali Protected』終了後のランキング
1位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 17,415pt
2位 五十嵐カノア(JPN) 16,640pt
3位 イタロ・フェレイラ(BRA) 16,075pt
4位 フィリッペ・トレド(BRA) 15,865pt
5位 コロへ・アンディーノ(USA) 13,875pt

2019 Women’s Championship Tour
『Corona Bali Protected』終了後のランキング
1位 ステファニー・ギルモア(AUS) 19,490pt
2位 キャロライン・マークス(USA) 18,695pt
3位 コートニー・コンローグ(USA) 17,355pt
4位 カリッサ・ムーア(HAW) 17,290pt
5位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 16,495pt

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