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『Billabong Pipe Masters』2日目 五十嵐カノアがR4進出!


PHOTO:© WSL/Poullenot

現地時間12月18日、トリプルクラウン並びにワールドツアーの最終戦『Billabong Pipe Masters』は2日目を迎え、R3のH11まで進行。
舞台のオアフ島・ノースショアのパイプライン。残念ながら今年は波に恵まれず、すでにウェイティングピリオドも残り僅かに。
この日は前日までのコナウィンドがおさまってオフショアで整ったクリーンなコンディション。北西〜西北西ウネリの残りでバックドアは良いバレルもあったものの、波数は少なめ。
そんな中、ケリー・スレーター(USA)が発案した2ヒート同時進行の「デュアルフォーマット」を利用して足早にスケジュールを消化していました。

五十嵐カノアを始めとしたルーキーの活躍、カイ・オットン(AUS)の事実上の引退、古巣のラスティと決別したジョシュ・カー(AUS)、ケリーとジョン・ジョン・フローレンス(HAW)の際立ったパフォーマンスなどトピックスも満載だったこの日。

R1を取りこぼした24名による敗者復活戦のR2は、コロヘ・アンディーノ(USA)、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)、ジョエル・パーキンソン(AUS)、セバスチャン・ズィーツ(HAW)、ビード・ダービッジ(AUS)、ライアン・カリナン(AUS)、ジョシュ・カー(AUS)、カイ・オットン(AUS)、コナー・コフィン(USA)、ウィゴリー・ダンタス(BRA)、ナット・ヤング(USA)、五十嵐カノアがラウンドアップ。

R1で怪我をしてヒート終了のホーンが鳴る前に海から上がってしまったスチュアート・ケネディー(AUS)、リプレイスメントのフレデリコ・モライス(PRT)、ブルース・アイアンズ(HAW)、トライアルを勝ち上がったフィン・マクギル(HAW)、ギャビン・ベッシェン(HAW)は早くも姿を消しています。


PHOTO:© WSL/Cestari

R2の注目カード、五十嵐カノア vs キアヌ・アシング(HAW・写真上)はロースコア勝負の中、終了間際にカノアがバックドアでのバレルライドで6.00をスコアして逆転勝利。
この結果により、ツアー2年目のキアヌはフランス戦で初優勝を決めたにも関わらず、リクオリファイを逃すことに...。

「この状況を受け入れるのは難しいよ。誰の責任でもなく、世界23位というのは自分の結果さ。今年はアップダウンが激しく、複雑な心境だね。もし、簡単にやり直せるなら誰でもそうするだろうけど、辛いことにもうどうしようもないんだ。でも、これで終わりではなく、前を向いて戦い続けなければいけない。容易いことではないけど、フランスでは優勝しているし、あの優勝で多くの経験を得ることが出来た。来年は厳しいと思う。しかし、またこの舞台に戻るためにやり続けるさ」

まだ23歳のキアヌ。再びQSからクオリファイを果たすチャンスは十分にありますが、夢の舞台から脱落というこの厳しい現実を受け入れるにはまだ少し時間が必要。
かなり落ち込んだ様子でインタビューに応えていました。


PHOTO: © WSL/Heff

R3からは波が更に不安定となり、番狂わせも...。
昨年のパイプマスター、エイドリアーノ・デ・ソウザ(BRA)がルーキーのライアン、2位のガブリエル・メディナ(BRA)がナットに敗退。
また、五十嵐カノア(写真上)が2014年のパイプマスター、ジュリアン・ウィルソン(AUS)をスマートなヒート運びで倒す大金星も!

すでにQSのランキングでリクオリファイは確定しているカノアですが、CTの方でランキングを上げてリクオリファイが出来れば同じ「Quiksilver」のチームメイトで仲も良いQS11位のジークことエゼキエル・ラウ(HAW)が繰り上げでクオリファイ出来るため、プレッシャーも。更に始めてのパイプマスターズ、今シーズン立ちはだかっていたR3の壁...。

「この一年、R3という壁があった。初戦のスナッパーロックスで突破した以来さ。重要なヒートだったし、ジュリアンは元パイプマスターで素晴らしい選手。ヒート前はナーバスになったけど、海に入ったら全て忘れ、自分を信じてサーフィンをするだけだと思ったのさ。実際に海に入るとコナウィンドが強かったから、ベストな波を待つよりも、少しでもスコアを出せる波に乗ろうと考えたんだ」

コーチのトム・ウィタカー、スネークこと1998年のパイプマスター、ジェイク・パターソン、ハワイのビッグウェーバー、リーフ・マッキントッシュと手厚いサポートに恵まれているカノア。
彼らからはジークのためではなく、自分のためにヒートを勝てというアドバイスを貰いパドルアウトしていたそうです。
カノアがCTからのクオリファイを決めるにはナットの勝敗も関係しますが、少なくとも3位以上が必要。


PHOTO: © WSL/Heff

現地の『F+』のつのだゆき編集長によるとこの日まるで違ったのはジョン・ジョン(写真最上部)とケリーの上手さ。
それはライブ中継を見ていても一目瞭然でした。

R3で復帰したビードを大差で敗ったジョン・ジョンは、「ビードとの対戦はとてもクールだったね。彼はレジェンドであり、とても良い人。素晴らしいサーファーでもある彼が海に戻ってきたことは本当に嬉しいことさ。彼とは初戦のスナッパーロックスから一緒に仕事(コーチ)をしてきたんだ。その時ほとんど歩けなかった彼が回復してくるのを側で見ていたのは本当にクールだったね。まだこのイベントを戦いたかったから、ヒートで勝つことだけを考えたよ」

丁度1年前、このイベントでヒート中にワイプアウトをした際に骨盤2カ所を骨折して病院送りになり、シーズンを棒に振ったビードは、熱心にリハビリに取り組んだ一方、コーチとしてジョン・ジョンをサポート。
初のワールドタイトル獲得の陰の立役者となり、その両者が最終戦で対戦し、ヒート終了後にハグを交わした場面(写真上)はこの日のハイライトの一つでした。

ちなみにジョン・ジョンは前日のフリーサーフィン中にバックドアで驚くような高さのアーリーウープをメイクして話題になっていました。
その動画は『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイトで公開しているので、ぜひチェックしてみてください。


PHOTO: © WSL/Heff

R3の最終ヒート、ジョーディ・スミス(ZAF) vs アレックス・リベイロ(BRA)のカードは翌日以降に持ち越しになったため、H11のケリー(写真上)とルーキーのコナー・コフィン(USA)の対戦はこの日唯一のマンオンマンとなり、波が良い時間帯にも重なり、ベストヒートと言える激しいバトルに!

序盤からバックドアでのバレルでスコアを稼いだケリー。初めてのパイプマスターズでリズムを掴めないコナーはバレルに潰されてロースコア止まりでしたが、後半にようやくバックドアでバレルをメイクした後、パワフルなレイバックで巨大なスプレーを上げて6.13。このライディングに応えるようにケリーはすぐにバックドアで更にディープな位置に留まり、8.27を返します。
ケリーがトップでコナーはニード9.14のシチュエーション。残り2分を切ってコナーはこのヒート一番のディープなバレル、スピットと共に姿を現します。
カイオ・イベリ(BRA)とのルーキー・オブ・ザ・イヤーの座もかかったこの勝負でしたが、9.07と逆転には僅かに足りず、ケリーがR4へ。

「本当に戦術的なバトルだった。自分は小さめの波を狙っていたんだ。風が合った時のバックドアはエアリアルの恰好の舞台。エアリアルの回転数、フリップの進化は見ているだけで楽しいし、まだ学ぶことが沢山ある。全てを理解出来れば、もっと楽しく見ることが出来るよ」

1992年から7度のパイプマスターとアンディの4度を大きく上回る記録を持つケリー。
その多くはパイプラインよりもバックドアのバレルで得た勝利でもあります。
また、シェーン・ドリアンに最も優れたターンをする選手と評価されたコナーは、ルーキー・オブ・ザ・イヤーをカイオに譲ったものの、リクオリファイが確定。この日のケリーとの対戦が来年に活かされることでしょう。


PHOTO:© WSL/Cestari

その他、9.17のハイエストスコアをマークしたジェレミー・フローレス(FRA)を始め、フィリッペ・トレド(BRA)、コロヘ・アンディーノ(USA)、ジョエル・パーキンソン(AUS)、ミシェル・ボウレズ(PYF) ジョシュ・カー(AUS)がR4進出を決めています。

なお、冒頭でもお伝えした通り、カイ・オットン(AUS・写真上)はリクオリファイを果たせず、事実上の引退。10年間のキャリアに終止符を打つことに...。
年齢的にQSからやり直すことは考えていなく、近くで行われるイベントに参加するだけで、あとは先に引退を表明したタジと楽しく過ごすよと話していました。

ネクストコールは現地時間12月19日の早朝7時30分(日本時間の20日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると北西ウネリはゆっくりと弱まる傾向ながら、早い時間帯はオフショアでクリーンなコンディションが期待出来る予想。
ファイナルデイになる可能性が高いので、お見逃しないように!
脇田貴之、辻裕次郎による日本語放送のライブ中継も楽しめます。

WSL公式サイト

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト

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