『Billabong Pipe Masters』開幕! | サーフィンニュース BCM | コンテスト

TOPNEWS > コンテスト
NEWS / BCMサーフィンニュース

コンテスト

『Billabong Pipe Masters』開幕!



今年で45周年を迎えるオアフ島・ノースショアのパイプラインを舞台とした『Billabong Pipe Masters』が現地時間12月10日に開幕。
32名の選手で争われたトライアルから一夜明けたこの日。北西よりのウネリは落ち着く傾向となり、公式8-10ftレンジ。ライト方向のバックドアも狙いやすくなり、いくつかのハイスコアも生まれましたが、ノース絡みのウネリでクローズアウト(ダンパー)してしまう波が多く、基本的には難しいコンディション。
午後にはトレードウィンドも強まってしまい、初日はR1の12ヒートのみでスケジュールは終了。

最終戦の見所はミック、フィリッペ、エイドリアーノ、ガブリエル、オーウェン、ジュリアン。史上初の6名で争われているタイトルレースですが、前日のフリーサーフィ中にオーウェンが頭をヒット。最初は大きな影響が無かったものの、後から異常を訴えて検査した結果、脳出血で絶対安静という診断に...。
12月最初の日曜日にはパイプラインでエヴァン・ゲイセルマン(USA)が意識不明となり、南アフリカのプロボディーボーダー、アンドレ・ボサがそれに気付いて適切な救助をしなければ命に関わっていたかもしれない事故が発生。翌日のOTWではミカラ・ジョーンズ(HAW)がワイプアウトの際にフィンが頭にヒットして21針も縫う大怪我を負うなど彼らの現場は常に危険と隣り合わせなのです。

オーウェンの脱落によって5名に絞られたタイトルレース。R1ではミック(写真最上部)、ガブリエルが1位通過でR3進出を決めた一方、フィリッペ、エイドリアーノ、ジュリアンは敗者復活戦のR2行きを強いられることに...。



H6でリプレイスメントで参加のブルース・アイアンズ(HAW・写真上)、シーバスことセバスチャン・ズィーツ(HAW)と戦ったミックは、「ブルースとシーバスと対戦する前はナーバスになったよ。彼らは世界のベストサーファーだし、特にパイプラインでは自分でも憧れる二人だからね。ヒートではかなり早い段階に動いたから、ナーバスになる暇も無かった。最初に二本の波に乗れてストークしていたけど、残りの20分、ブルースは簡単に逆転する可能性があったので、そこからは再びナーバスになったさ」

このヒートの決め手となった9.43はバックドアのメイクによるスコア。ヒート序盤、テイクオフからすぐにリップの下に潜り込み、バレルの中でも最高の位置をキープ。更にミックにアンサーするように次のセットをキャッチしたブルースがバックドアのバレルをメイクしてスタイリッシュなプルアウトを見せた場面は本日のハイライトと言っても過言ではないでしょう。

4度目のワールドタイトルがかかっているミック。現在ランキング24位でリクオリファイがかかっているシーバス。
そして、天の兄のアンディのためにマスターズの座を狙っているブルース。それぞれの想いが重なっていたこのヒート。
ミックはトリプルクラウンの第2戦『Vans World Cup』でハワイでの初優勝を決めた一方、冒頭にお伝えしたエヴァンの救出劇にも関わり、更にチームメイトのオーウェンとは事故が起こったその場で一緒にサーフィンをして異常を訴えるまでの間も行動を共にしていたため、ショックも大きかったそうです。



「本当に悲しいことが起きてしまった。オーウェンは昨年もパイプの前に肩を怪我してしまい、2年連続の欠場なんだ。昨日の朝は一緒にサーフィンして話をし、食事にも行ったんだ。でも、そこで調子が悪くなったのさ。彼の回復を心から願っているよ」

今シーズンのミックはJ-Bayでのシャークアタックなど波乱含みですが、それらを乗り越えて4度目のワールドチャンピオンまであと僅かな位置まできているのは精神力の強さも世界トップだという証明。
ちなみに日本語放送のMC、脇田貴之によるとあのシャークアタックの時、最初のアタックからサメにパンチしてボードを捨てて泳いで逃げようとした後、背後にサメの気配が....。普通なら恐怖だけを感じる場面ですが、ミックは「OK、2ラウンド目行くぜ!」とファイティングポーズをとったそうです。
ミックにとって、すでにシャークアタックは過去の笑い話で、今はチームメイトの回復と自らのタイトルのことしか頭にないでは?

ブルースのR2の対戦相手はJOBとのH5でクロスゲームの末に敗退したフィリッペ。皮肉にも先日の『Surfer Poll Awards』で「A.I. Breakthrough Performance」を受賞したフィリッペはアンディの妻リンディと息子アクセル、ブルースと同じ舞台に上がっていたばかり。
初のタイトルに向けて負けられない勝負に最も当たりたくない相手と組み合わせされた形となりました。



タイトル争いとは関係ないカードながら、H9のケリー、C.J、タジのベテラン勢の戦いは見応えあるものに。
過去7度もマスターズの座を手に入れているケリーに2009年にケリーとファイナルを戦い優勝した経験があるタジ(第一子の誕生で久々の一戦)、そして、今シーズン限りの引退を表明したC.J。

ヒート序盤、プライオリティを持っていたC.J(写真上)はタジが乗ろうとした波を振り向き様にテイクオフ。そのままバレルに包まれ、完璧に姿を消してから出口が閉じる前に飛び出し、メインラウンド(トライアルではルーク・シェパードソン)では初となるパーフェクト10をマーク。
ケリーとタジを抑えてラウンドアップ。

「ヒートが始まる前、ケリーと同じ世代で光栄だったと話したんだ。自分のキャリアはベストサーファーとの対戦に恵まれた。もっと年をとってから感謝すると思うよ。あの波(10ポイント)はタジが悪い波と判断してケリーも良い波になるとは思わなかったらしいね。自分も素晴らしい波になるとは考えなかった。神様のおかげかな。最後は潰されると思ったけど、ずっと良い形を維持して出口は身体が勝手に見つけたのさ」

インタビューを受けるC.Jの片手にあったサーフボードはヒート中にやったであろう凹みが...。
また、「Firewire Surfboards」絡みでいくつかの異なるサーフボードを持ち込んだケリーのR1の相棒はオーストラリアのグレッグ・ウェーバーが削った6’3、EPS。
CT選手はパイプラインでも短いサーフボードを使用することが多いのですが、その中でもケリーは特に短いそうです。

その他にR1を勝ち上がったのは、イタロ・フェレイラ(BRA)、オーウェンのリプレイスメントとして参加しているメイソン・ホー(HAW)、ミシェル・ボウレズ(PYF)、カイ・オットン(AUS)、ジェレミー・フローレス(FRA)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ビード・ダービッジ(AUS)、ジョシュ・カー(AUS)

R2の注目カードはブルースvsフィリッペ。エイドリアーノvsジャック・ロビンソン(AUS)など。



ネクストコールは現地時間12月11日の早朝7時30分(日本時間の12日午前2時30分)
オフィシャルフォーキャストの「Surfline」によると北北西ウネリにシフトしながらサイズダウン傾向となるものの、ハワイアンサイズで4-6プラスは残る予想。
週末はサイズダウンが進み、週明けは火曜〜木曜に新しいウネリが入る見込み。

なお、今年もライブ中継では脇田貴之、辻裕次郎による日本語放送が配信。
この日は大原洋人、大野修聖がゲストに来て裏話を交えていました。

WSL公式サイト

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト



photo: WSL Covered Images

BCM の Facebook に「いいね!」をしよう

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。