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『Hawaiian Pro』はダークホースが制した!



現地時間11月21日、トリプルクラウンの初戦QS10,000『Hawaiian Pro』が終了。

豊富なノーススウェルに恵まれ、ウェティングピリオドを1週間も残して終了した昨年と一転して今年は6日間のレイデイを強いられ、7日目に入った北西ウネリでイベントが開幕してピークは翌日。
3日目、ファイナルデイと北ウネリにシフトしながらサイズダウンが進み、結局ハレイワらしい波が姿を現したのは僅かな時間のみ...。

ワールドタイトルと並ぶ名誉あるトリプルクラウン獲得を狙って奮起していた強豪ハワイアンが早いラウンドで次々と敗退した一方、スモールコンディションに強いブラジリアンやヤングオージーの活躍が目立っていました。

ファイナルデイは前日からの雨とイベントを通して持続したオフショアが続き、3-4ftレンジ。セットは形良いものの、その数は少なく、少しのミスも許されないシビアな戦いに。

前日のR3で9.57を含むトータル18.24のハイエストヒートスコアをマークしたコナー・オレアリー(AUS・写真下)は波回りが悪く、R4敗退。
QSランキングも9位から11位にランクダウンしています。
(五十嵐カノアはR4で敗退で6位から7位へ。大原洋人はR2敗退で28位から32位にランクダウン)



QFで9.23を含むトータル17.66、ワンマンショーを披露して会場を沸かせていたガブリエル・メディナ(BRA)、昨年のサンセットを制したミシェル・ボウレズ(PYF)なども波数の少なさの犠牲となり、ファイナル進出はならず...。

そんな中、ディフェンディングチャンピオンのダスティ・ペイン、エゼキエル・ラウの二人のハワイアンとフィリッペ・トレド(BRA)、ウェイド・カーマイケル(AUS)がファイナルに進出。
ファイナルは序盤にセットが入り、抜きつ抜かれつの攻防。4人共に僅差でしたが、フィリッペが高さ・スピード共に申し分ないフルローテションエアーをメイクして9.50をスコア。会場を大いに盛り上げていましたが、その派手さとは対照的にエアーなしのパワフルなターンでウェイドが9.07をマーク。更に6.33のバックアップスコアを重ね、トータル15.40で主導権を握ります。
2位のフィリッペが必要なスコアは5.90。中盤はセットが止んで小康状態。シチュエーションは変わらず後半へ。ラスト5分を切ってからセットが入り、プライオリティの順に波に乗りますが、フィリッペは得意のエアリアルを出せず、5.33止まり。
ダークホースのウェイド(写真下)が逃げ切る形で2013年のメキシコでの4スター以来の優勝を決めました!



友人のディオン・アトキンソンなどに担がれてビーチ凱旋からインタビューブースに向かったウェイド。

賞金の40,000USドルを手に入れ、更に重要な10,000ポイントを得てQSランキングを53位から一気に13位にアップさせ、次のサンセットの結果次第ではクオリファイの可能性が出てきたことを聞かれると、「信じられないね。人生で最も長い20分間だった。パニックだったよ。自分の乗った波がベストだと思ったけど、良い波が沢山入っていた。他の選手が上回らないことを願っていたさ。本当に嬉しいね」とコメント。

今回の優勝はただのQS10,000の優勝ではなく、トリプルクラウンの1戦。サーフィン界の歴史に名を刻むことになります。
「4年間ここに通い、ファイナル進出を目指していた。ハレイワの波は大好きだし、最高に気持ち良いターンが出来るんだ」

キャリア最高の勝利の直後、インタビューの最中は放心状態で、言葉が出て来ないような感じでした。

トレードマークの髭のせいで老けて見えますが、まだジュニア枠から卒業して数年。23歳のウェイド。
昨年のQSランキングは59位。今シーズンはカリフォルニア、ローワー・トラッセルズのQS10,000で3位、そして今回の優勝がハイライト。
オーストラリア東海岸のセントラルコースト、アボカビーチがホーム。実力の割りにスポンサーには恵まれていませんが、この優勝で状況は変わりそうです。



ワールドツアーでは唯一3勝を上げてカレントリーダーのミック・ファニング(AUS)と僅かな差で2位につけているフィリッペ(写真上)
序盤にメイクしたフルローテーションはファイナルで最も盛り上がった場面であり、MCのピーター・メルも思わず雄叫びを上げたほど。あのエアーを決めた時点で多くの人はフィリッペの優勝を確信したと思いますが、ウェイドのトラディショナルなサーフィンの方がこのノースショアでは評価が高かったようです。

「最後の10分間はフラットになってしまった。’自分には一本波が必要なんだ’と神に願っていたよ。やっと入った波はミドルサイズ。セットでは無かったけど、形は良かった。でも、スコアは出せなかったのさ。2位は悪く無い成績。2位でもストークしているよ」

次のサンセットはスキップして最終戦のパイプラインに集中するとコメントを残していたフィリッペ。
最後の舞台を制するにはバレルのスキルが必至であり、彼が最も評価されていない部分でもあります。
もし、パイプラインでミックを逆転してワールドタイトルを獲得出来れば、スモールコンディションだけが得意という印象は一転しそうです。



2013年のサンセットを制し、トリプルクラウンの称号も争った経験があるエゼキエル(写真上)
パワフルなマニューバーにエアリアルをミックスしたライディングでギャラリーを魅了していました。

「ヒート序盤は沢山の波が入っていた。逆に冷静さを欠いてしまい、興奮し過ぎてしまったよ。波の選択もミスしてしまったのさ。その点、ウェイドはベターな波を選び、それが有利に働いたんだと思うよ」



今イベントのディフェンディングチャンピオンであり、昨年はサンセットでも2位に入り、この2戦の結果でツアーに返り咲いたダスティ(写真上)
残念ながらツアーでは最下位でリクオリファイは難しいため、今年もトリプルクラウンでの活躍がリクオリファイの条件に。

「ギックリ腰の治療をしていてサーフィンを再開したのは1週間前からなんだ。だからポルトガル戦も欠場して、QSのブラジリアンレッグにも行けなかった。まずはサーフィンが出来るようになって嬉しい。今回は3位以上が欲しかったけど、まあ良い結果だよね。一度自宅に戻って腰のリハビリをするよ。次のサンセット、パイプは少し良くなって戦えることを願っている」

トリプルクラウンのセカンドイベントはサンセットビーチに舞台を移動して11月24日〜12月6日に行なわれるQS10,000『Vans World Cup』です。

なお、マウイ島のホノルアベイではウィメンズワールドツアーの最終戦『Target Maui Pro』がウェイティングピリオドに入っています。
初日はレイデイ、今のところ週末〜週明けにかけてサイズダウン傾向となる予想。
こちらはカリッサ・ムーア(HAW)&コートニー・コンローグ(USA)による熾烈なタイトル争いに注目。

サンセット、ホノルアベイ共にTwitterやコンテストリポートで最新ニュースを更新していく予定です。

『Hawaiian Pro』結果
1位 ウェイド・カーマイケル(AUS)
2位 フィリッペ・トレド(BRA)
3位 エゼキエル・ラウ(HAW)
4位 ダスティ・ペイン(HAW)

WSL公式サイト

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト





photo: WSL Covered Images

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