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「Hurley Japan」チームマネージャー・糟谷修自×8つの質問 part.2


(©yogephoto2013 )

10月にお伝えしたトラッセルズでの『Hurley Pro』終了後の「Hurley Japan」チームマネージャー、糟谷修自へのインタビュー。
「Hurley Japan」を代表して世界を目指している大原洋人、大橋海人に対するアドバイス、サポートのことや、今後の展望などを中心に答えて頂き、彼らの可能性を垣間見ることが出来ました。


あのインタビューの後、大原洋人はブラジルで開催されたワールドツアーの登竜門と言われているワールドジュニアチャンピオンシップ、通称「WJC」でガブリエル・メディナ(BRA)、ラムジ・バークヒアム(MAR)に続く3位に入賞。
この結果により2014年の6スター&プライムでのシード権を取得。目標であるクオリファイに一気に近づきました。


一方、大橋海人の方は10月末のポルトガルとトリプルクラウンの初戦&第2戦、続けて3つのプライムイベントに参戦。 残念ながら良い結果は残せませんでしたが、今後の課題が具体的に見えてきたと思います。


(Hurleyハウスにて、大橋海人、大原洋人、河村海沙。©yogephoto2013 )


両者共にハワイ・ノースショアのシーズンはサンセットにある「ハーレーハウス」に滞在。世界のトップサーファー達と切磋琢磨しながら、すでにメディアでも素晴らしい写真を残しています。

そんな二人の「今」をふまえ、2014年最初のビッグイベントとなるパイプラインでの5スター『Volcom Pipe Pro』を前にBCMが再び糟谷修自に独占インタビュー。
早くも見えていた来年の展望とは?


(現地ハワイへSkypeインタビューを実施)




糟谷修自=SK
BCMスタッフ=BCM

■Q1.
サンセットの「ハーレーハウス」では、糟谷修自さんも合流しているそうですが、その目的や、二人のトレーニング内容は?


●SK
ご存知の通り、ここハワイには10月下旬からの4スター『HIC Pro』を始め、11月中旬より開催されるトリプルクラウンに向けて、世界中のトップサーファーが集まってきます。
大橋海人、大原洋人を始めとした「Hurley Japan」チームライダーも、波の上がるこの時期に長期ステイし、世界のTOPライダーと同様にトレーニングを重ねています。

「ハーレーハウス」を借りて今年で3年目になりますが、パイプラインを中心に毎日波チェックをしています。
カメラマンも同行し、私も定期的に彼らのライディングなどをチェックしていますね。

海人は自分なりのトレーニングを重ね、今年はアメリカ・バージニアの4スターで4位。日本でも結果を残してレベルもランキングも上がっています。
すでにプライムも出れる位置まで来ました。

洋人は今年の春からハワイにステイしたこともあり、バージニアからメキメキ上達しています。
サーフィン以外でも走ったり、泳いだり、アスリート向けのトレーニングも積極的に取り入れ、トリプルクラウンの初戦で優勝したエゼキエル・ラウと同様のトレーニングも実施しています。


(大原洋人 ©yogephoto2013 )


■Q2.
ノースショアでは主にどこを中心にサーフィンしているのでしょうか?


●SK
基本的にはパイプラインです。世界のサーファーと競いながら、良い写真を残すのが一番の目的です。
もちろん、大きな波以外でのトレーニングも大切なので、波が小さい日などはロッキーや、他の場所でサーフィンすることもあります。
でも、やはりパイプラインが中心ですね。
同じ目的で世界中から沢山のサーファーが集まってきていますが、ここでしっかりとしたサーフィンが出来るサーファーは少ないのが現実。
ノースショア、特にパイプラインでやることは、世界で戦うためには避けて通れない道だと思います。


(大橋海人 ©yogephoto2013 )


■Q3.
二人共、ノースショア滞在で何本くらいのサーフボードを使用してるのですか?


●SK
洋人は短い板も含めると、12〜13本位は持ち込んでいますね。既に4本折れてしまいましたが...(笑)
海人は15〜16本位かな。昨年からの板も含めると、ストックは25本位になると思います。

●BCM
凄い本数ですね!
TOPライダーともなると、皆それくらいの本数を持ち込んでくるものなのでしょうか?

●SK
もちろん、スポンサーとの条件面など個々に違うものですが、世界の有名選手ともなると20〜30本位のボードを用意しているサーファーも少なくありません。パイプラインに合うボードは、誰でも簡単に削れるものではありませんからね。
当然ながら、ただ本数があれば良いという話しではなく、コンディションによってもボードのチョイスは異なります。
常に危険と隣り合わせでのトレーニングでは、最良の道具選びが自信にも繋がり、怪我の防止にもなる。
これは重要です。


■Q4
少し話しは反れますが、二人の「ハーレーハウス」での様子はどうでしょうか?


●SK
仲良くやってますよ(笑)
もともと明るい性格の二人ですからね。
お互い、ライバルであることに変わりはないのですが、ライバル心を剥き出しのギスギスした感じではなく、お互いで高め合っているような...。
海人は去年より大分ハワイに慣れてきているし、洋人は“今やらなければならない事”に絞って取り組んでいます。
良い意味でお互いを意識して、ハードルを上げ合っている感じです。


(大原洋人 ©yogephoto2013 )

●BCM
料理などはするのでしょうか?

●SK
実は近くにプレートランチが食べれるレストランがあって、去年はそこで食事してばかりでした。
お金の面もそうですが、健康管理なども自分で出来なければという話しをしたところ、今年は一度もそのレストランには行っていないようです。
自炊も覚えてきたみたいですね(笑)

●BCM
なるほど、重要なことですね(笑)
普段の生活、海でも、交流があるサーファーや、アドバイスをくれるサーファーなども居るのでしょうか?

●SK
大会が始まれば、「Hurley」インターナショナルライダーと顔を合わせる機会も多いですよ。
ジュリアン・ウィルソン、ジョン・ジョン・フローレンス、ナット・ヤング、ヤディン・ニコル、etc...。
パイプに入っていけば、BIGネームの選手との交流もありますので、良い刺激になっているようです。


■Q5.
話しは戻りますが、ブラジルでのワールドジュニアで3位になった大原洋人。
あの時は具体的な戦略、アドバイスなどはあったのでしょうか?


●SK
前回にも少しお話ししましたが、チームマネージャーである私の立場としては「選手の迷いを消し去り、100%の実力を発揮できるようケアしていく」ということが重要だと考えています。
もちろん、大会当日の戦略的な意見・アドバイスもするのですが、食事や睡眠なども含め、“本人が最もリラックスして試合に臨める環境作り”という部分を意識しましたね。

今回、ワールドジュニアの会場だった「Joaquina Beach」の近くはブラジリアンの選手、関係者が多数ステイしていましたが、あえて車で10分位の距離がある宿をチョイスしました。
また、ボードは5本持ち込んでいたのですが、それぞれの特徴、ロッカーバランスなどを考慮した上で最良のチョイスをアドバイスしました。自分の実力を100%発揮するには、ここで迷いがあってはいけません。


(SFでガブリエルに大敗はしたものの “この借りはWCTで” と語った大原洋人 ©Hurley Japan )


■Q6.
3つのプライムに参加した大橋海人。
こちらは残念ながら良い結果を出せませんでしたが、その要因や課題などは?


●SK
ざっくりと言ってしまうと、“慣れない場所”での試合展開に苦戦を強いられた形でしたね。
ポジショニングの位置や迷い、それにハレイワの試合ではかなり強いカレントも入っていましたし、実力を出し切れなかったというのが正直なところです。
プライムともなると世界のTOPライダーと同じ土俵で勝負するわけですから、ミスは許されません。
自分のミスが1つでもあると、ライディングのポイントも、0.5〜1.0ptの差が出てしまい、これが勝敗を分けるケースも多々あります。
WQS、WCTとハードルはどんどん高くなっていきますが、彼らはそういう世界で戦っています。

もちろん、実力ももっと上げなければいけませんが、これらの経験は確実に本人を次のステップへ引き上げてくれます。
また、“サーフィンで勝てる”相手であっても、波のチョイスやボードの選択を誤ると、“ゲームに勝つ”ことはできません。
有名選手には必ずと言って良いほど、信頼できるコーチやアドバイザーが共に行動していますので、私としても力になりたい。
選手のことをピンポイントで見たり、意見する。他にもライディング、道具選び、精神状態や体調なども見る。
そういう人はなかなか居ませんからね。


(大橋海人 ©yogephoto2013 )


■Q7.
すでに発表されたASPスケジュールでは、パイプラインでの『Volcom Pipe Pro』の後、プライムではカリフォルニア、ブラジル、南アフリカ。
8月にハンティントンで『US Open of Surfing』があって、ポルトガルが2戦、そしてトリプルクラウンと続きます。
スターイベントも含め、二人の来年のスケジュールはもう組み立ててあるのでしょうか?


●SK
来年は、『Volcom Pipe Pro』からスタートし、21戦ほどの出場を視野に入れながら世界を転戦したいと考えています。
プライム、6スターが中心ですが、ワールドランキングでのバックアップも考慮しながら、5スター以下の大会にも出場する予定です。
2人の意見やHurley側の意向も考慮した上で、これから具体的なスケジュールを固めていきます。


(©yogephoto2013 )


(ノースで猛チャージを見せる河村海沙の姿も ©yogephoto2013 )


■Q8.
最後になりますが、2014年のWCT(ワールドチャンピオンシップツアー)スケジュールには、カリフォルニアの『Hurley Pro』が9月に予定されており、世界中の名立たるHurleyライダー陣は、限られたワイルドカード枠を競い合う形になると思います。
大橋/大原、両選手がこの土俵に上がるための条件、可能性などがあればぜひ教えてください。


●SK
WCTのトップ34をはじめ、ワールドランキング上位選手を見て頂ければお分かりと思いますが、「Hurley」がサポートしているチームライダーは本当に多いです。
そして『Hurley Pro』のワイルドカードを決めるトライアルの出場権に至っても、今のところ“Hurley Japanのライダーから一人”などの枠は無く、アメリカ、ハワイ、ブラジル、皆同じ条件での争奪戦になると思います。
数少ないチャンスを勝ち取るため、一つの指標となるワールドランキングをWCT開催までに少しでも上げる。そのために成績を残さなければいけません。
そして「日本の中では」ではなく、世界目線で“スゴイ奴がいる”という認知、結果が必要だと思っています。

●BCM
『Hurley Pro』のワイルドカード、その中で見出せる可能性、期待値などはどんなところでしょうか

●SK
WCTに入って戦うということは、彼らの夢でもあります。
今回のハワイステイでも、トレーニングや調整を重ね、実力、結果も少しずつ付き始めています。

まず、21歳の海人。
実力的にもまだまだ“のびしろ”があり、外国人選手に良く見るような「動じない」心の強さ。
これは強みだと感じます。

17歳の洋人。
まだまだ若いながらも、どこか冷静。思わぬアクシデントでもパニックにならずに対応出来る強い精神を持っています。日々のトレーニングは「辛いけど、もっとやりたい」そんなモチベーションで望んでいます。

チーム・マネージャーという立場から二人の良い部分を引き出していけたら良いと思います。
そして、日本の若い力を皆さんも応援してくれたらありがたいですね。



(大橋海人 ©yogephoto2013 )


(大原洋人 ©yogephoto2013 )


(糟谷修自 ©yogephoto2013 )





世界中からトップサーファーが集まる冬のノースショアで経験を重ね、目標である世界の舞台に一歩ずつ近づいている二人。
表舞台だけがフィーチャーされる一方、コンテストの世界では結果が全てという厳しい現実もあり、それが海外ならば戦う以外にも様々な苦労が重なってきます。


前回のインタビュー、「Hurley Japan」チームマネージャー・糟谷修自×8つの質問と今回のインタビューで普段メディアで見れない彼らの努力や素顔が少し分かって頂けたと思います。


2014年はプライム、6スターを中心に出場し、9月にカリフォルニアのトラッセルズで開催される『Hurley Pro』のワイルドカードも視野に入れながら活動する二人。
BCMでも二人のニュースが入り次第、コンテストリポート、facebook、twitterなどでお知らせします。


みなさんも若い二人のサーファーの世界の舞台へのチャレンジをぜひ応援してください!


◆糟谷修自
1989年、90年に2年連続JPSAグランドチャンピオン獲得。
カリフォルニア仕込みのスタイリッシュなサーフィンと甘いマスクでモデルとしても活躍。現役を退いた後も日本サーフィン界のカリスマ的存在となっている。
現在は自身のブランド「SK SURFBOARDS」に加え、「Hurley Japan」のチームマネージャーを務め、ハワイ、カリフォルニア、日本と多忙な日々を過ごしている。
http://sksurfboards.com

◆大橋海人
生年月日:1992年2月16日
出身地:湘南・茅ヶ崎
スタンス:グーフィー
ジュニア時代から日々進化し続け、数々のコンテストで優勝を飾る。
2009年にJPSA公認プロを取得し、『ルーキーオブサイヤー』に輝く。
2012年度はJPSA年間ランキング2位を獲得。
<2013年>
ASP 4スター「Vans Pro」4位入賞
24年振りに開催された伝説のビッグウェーブ・コンテスト「イナムラサーフィンクラシック」にて優勝、他

◆大原洋人
生年月日:1997年11月14日
出身地:千葉・一宮
スタンス:レギュラー
幼少の頃より積極的にコンテストへ参加し、2010年に史上最年少でJPSA公認プロを取得。
翌年には北米のアマチュア団体「NSSA」メンズ/ジュニアの2クラスでW優勝など海外での実績も高い。
<2013年>
ASP 4スター「Vans US Open Junior Pro」3位入賞
ASP 4スター「Vans Pro」5位入賞
ワールドジュニア『HD World Junior Championship』3位入賞、他


Hurley Japan
web: http://www.hurley.jp/
facebook http://www.facebook.com/HurleyJapan

取材協力&提供 Hurley Japan/Terrestrical Inc

写真提供 カラーズマガジン、YOGE
http://www.colors-magazine.com/

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