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『Billabong Pipe Masters』R2でケリーが魅せた!



オアフ島・ノースショアのパイプラインで開幕したASPワールドツアー第11戦『Billabong Pipe Masters』
新しい西〜北西ウネリが入った現地時間12月13日にR2から再開。
バックドアがメインだった前日と変わり、パイプライン中心となったこの日。強いトレードウィンドの影響も加わり、選手やMCが口々に「チャレンジング・スケアリー・ナーリー」と言うほど危険なコンディションでした。

自らが考案した二つのヒートが同時進行するデュアルフォーマットのオープニングラウンドに登場したケリー・スレーター(USA)は、トライアルで優勝したリーフ・マッキントッシュ(HAW)と対戦。前日のR1ではハイスコアを出しながらもアダム・メリング(AUS)の逆転劇で主役を奪われてしまったケリー。

40分ヒートの前半はお互いにバレルの出口を見つけられず、ロースコア止まりで進行。
試合が動いたのはラスト15分を切ってから。ケリーがパイプラインでようやく納得のバレルを抜け、カットバックまでメイクして6.67をスコア。
この一本で流れが変わり、風が強く、バックウォッシュも入った難しいバレルで7.43。最後にはピークの最も奥からディープなバレル(写真下)に包まれ、9.57。このライディングには10ポイントを出したジャッジもいたほどの完成度。トータル17.00で、リーフをコンビネーションに追い込んで圧勝。R3進出を決め、タイトル争いを続行。
後半にエンジンがかかった強豪ハワイアンのリーフでさえケリーと比べるとバレルの位置は浅く、4ポイント止まりだったことを考えれば、ケリーのパイプラインでのスキルの高さが分かると思います。



「6時45分のコールには驚いたね。今朝の波チェック時、長い間見ていたけど、チャレンジングだと思ったよ。もし、コンテストをやるなら今日2ラウンドやって明日で終わる。マキシマムサイズでね。このウィンディーコンディション、人によっては今日はやらないんじゃないかとも言っていたんだ」と今朝の状況を説明したケリー。

ヒート前半で何度も潰されたケリーは、以前から痛みがあった肋骨を打ってしまい、こらえながらやっていたそうです。後半にスイッチが入り、ノーグラブでのテイクオフからメイクした9ポイント台のバレルについては、「優先権はリーフにあったけど、彼は乗ろうとしなかった。残り5分、チャンスを逃したく無かったし、良い決断だったと思うよ。ボトムターンしたら凄いフォームボールが目の前のラインにあった。そこを上手く抜けられたのはラッキーだったね。波はとてもチャレンジングだったよ」とコメント。

1992年の初優勝から通算7度も今イベントを制しているケリー。誰よりも知識があることは結果が示していますが、ローカルとの勝負は特別。
「このウィンディーな波でやると決まった時、勝ち続けてタイトルを獲得するためには、リーフのようなベストな選手を倒して進む必要がある。4ftから20ftまでサイズを問わず、ライトもレフトも上手い。彼はコンテストの経験も豊富だし、今回のような優先権のシステムも理解しているよ。今回は幸運にも彼が波の選択を間違えた。8ftのバックドアを狙っていた一方、オレは小振りなパイプを狙ったことが功を奏したのさ」

タバルア島・「Cloudbreak」のバレルでミスをした際にボードをヒットしてしまい、左足の人差し指と中指を骨折。海に入れるまで回復したのは数日前。それでも今日のような見事なパフォーマンスを披露出来るのはケリーだからこそ。
ケリー以降のヒートを見れば分かる通り、9.37をスコアしたジャドソン・アンドレ(BRA)以外は全てロースコア止まりだったR2。
遂には予定されていたR3も翌日以降に見送られることに...。
難しいコンディションであればあるほど彼の神がかったサーフィンが際立つのです。



現場のリアルさを伝えるためにピーター・メルが届けたラインナップからの映像は見るからにカレントが強く、最後にはマイクを片手にドルフィンするようなハードな状況。何本ものサーフボードが餌食になり、H8〜9の頃にはセカンドリーフから割れる巨大なウネリも到達。

H3でダスティ・ペイン(HAW)と対戦したジョーディ・スミス(ZAF)はバックドアのクローズアウトセクションに捕まり、肩を強打。そのままビーチに上がり、悲痛な表情で病院送りに...。
一方のダスティも難しい波にスコアを伸ばせず、後半に小さめのバックドアをなんとかメイクして3.03。ジョーディと同スコアながら、カウントバックで勝利してR3へ。

「今までも危ないヒートは経験したけど、相手が上がってしまった状態で、僅か3ポイントを出すのに苦労したのは初めてだよ。世界中のどこでやっても、今回のシチュエーションは楽勝。でも、パイプだけは例外さ。特に今日みたいなトリッキーな波の日は、100本の波にテイクオフしても難しいくらいだね。小さなライトの波を掴めたのはラッキーだったよ」とダスティ。

トリプルクラウンに王手をかけたダスティの次の相手はワールドタイトルが目の前まで迫っているガブリエル・メディナ(BRA)
もし、ダスティが負ければケリーは脱落。ミック・ファニング(AUS)はファイナル進出がタイトルの条件。ダスティが勝った場合でも、ミックはSF進出、ケリーは優勝が条件になります。
日本語でのライブ中継のMCを務めている脇田貴之によると、前日の日没間際のパイプライン、ラインナップにはケリーとダスティが残り、色々と話していたそうです。ガブリエルが敵の両者。その話の内容はとても興味深いです...。




敗者無しのR1と違い、R2で負ければ全ては終わり。特に最終戦には来年もツアーに残れるかというリクオリファイもかかっており、WQSでもランク外のアリッツ・アランブルー(ESP)、ティアゴ・ピレス(PRT)、ディオン・アトキンソン(AUS)、ミッチ・クルーズ(AUS)、トラビス・ロギー(ZAF)などがR2敗退でツアーから脱落。

トラビスに関しては、ハレイワのイベント中にすでに引退を表明。膝の痛みを理由に前日のR1をキャンセルし、R2も参加出来ない場合はトライアル3位のジェイミー・オブライエン(HAW)が代理を言い渡されていましたが、ヒート直前に痛々しいテーピング姿で登場。
エイドリアン・バッカン(AUS)とのラストヒートを終えて海から上がった後はミックとアリッツに担がれて(写真上)ビーチを凱旋。清々しい表情でインタビューに答え、「クレイジーな日々だったよ。自分にとって素晴らしい時間だった。ヒート前は涙が出そうになったし、これが最後なんて信じられなかったね。家族、妻からの大きな愛。心から支えてくれたクイックシルバー、ASPへのほろ苦い気持ちかな。昨日は歩くことも出来なかったから、今日はパドルアウトして波に乗れたことだけでもストークしているよ」と話していました。

インタビュー後は’Team Logie’のキャップを被り、クイックシルバーのメンバーと記念撮影。
その中には今シーズンの開幕戦前にクイックシルバーから離脱をしたケリーの姿も...。
引退後はASPで仕事をするというトラビスのハイライトは2009年のオーストラリア、WQS2スターでの優勝(クオリファイ前を含めると2004年のフランス、6スター優勝)、WCTでは2011年のタヒチでの3位。2012年のサンタクルーズでの3位。トータルランキングでは2012年の20位が最高位。

ショーン・トムソン、グレッグ・エムズリーに続くWCTでは少数派の南アフリカ出身の選手として9年間ツアーを回ったトラビス。
今後は唯一の南アフリカ出身の選手となってしまうジョーディからは、「トラビス・ロギーの素晴らしいキャリアを祝福したい。サーフィンを初めてから今まで彼にインスピレーションを受けた。残念なことに自らの怪我で病院に運ばれ、最後に彼を担いでビーチを歩くことが出来なかったよ。でも、彼の仲間が素晴らしいサポートをしてくれたと確信している」とInstagram上でコメント。
他にもケリーを始め、多くの選手達がトラビスのキャリアを祝福するメッセージをポストしていました。



ネクストコールは現地時間12月14日の早朝7時30分(日本時間の15日午前2時30分)
オフシャルフォーキャストの「Surfline」によるとウネリの向きはノースに振れながら午後にはピークを過ぎる予想。
R3のファーストヒートはジョン・ジョンvsアダムのカード。ガブリエルはH6でダスティ、ミックはH9でジェレミー、ケリーはH12でアレホと対戦します。

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト

ASP公式サイト



photo: ASP Covered Images

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